■ハンバーガーが小児の喘息リスクを増大 ― 2010年06月20日
ドイツ、ウルムUlm大学疫学研究所のGabriele Nagel博士らが、医学誌「Thorax(胸部)」6月3日号に発表したところによれば、週に3回以上ハンバーガーを食べる小児は喘息および喘鳴のリスクが高く、果物、野菜及び魚の豊富な所謂「地中海食(Mediterranean diet)」を摂っている小児は呼吸器リスクが低いことを明らかにした。今回の研究では、富裕国及び貧困国を含めた20カ国の小児5万人のデータを収集。子どもの主な食生活及び喘息の有無を親に尋ねると共に、約3万人の小児のアレルギー検査を実施した。その結果、食事によるアレルギーへの影響はみられなかったが、食生活と喘息及び喘鳴には関連がみられた。富裕国・貧困国共に果物を多く摂取している小児は喘鳴が少なかったほか、富裕国では魚の摂取、貧困国では加熱した青野菜の摂取が喘鳴の予防になるようであった。これは、果物と野菜に豊富な抗酸化ビタミン類及び生理活性物質、魚に含まれるオメガ-3脂肪酸によるものと考えられるという。
一方、ハンバーガーを多く食べる小児は、生涯の喘息、喘鳴の罹病率が高く、特に富裕国のアレルギーのない小児にこれが当て嵌まる事も判った。但し、この結果は喘息を増大させるその他の生活習慣因子を示すマーカーである可能性もある。尚、肉類全般による喘鳴リスクの増大は認められなかったという。
この研究の全体から、抗酸化物質および不飽和脂肪酸が何らかの役割を演じていることをデータは示しており、喘息の原因の1つが食事に関連している可能性を示しているという。
▼原文: Burgers May Feed Kids' Asthma Risk
■アレルギー抑える物質発見…筑波大 ― 2010年06月14日
花粉症、アトピー性皮膚炎…「万能」治療薬へ期待渋谷彰・筑波大学教授らが6月6日発行の専門誌「ネイチャー・イムノロジー」に発表したところによれば、粉症やアトピー性皮膚炎などさまざまなアレルギー反応を抑え込むたんぱく質を、世界で初めて発見したという。このたんぱく質は生体内に元々存在しており、その働きを高める方法がわかれば、画期的なアレルギー治療薬につながる可能性がある。
このたんぱく質は、アレルギー反応を引き起こすヒスタミンなどの物質を生産して放出する「肥満細胞」の表面に有って、「アラジン1」と命名された。
その働きは、肥満細胞の中で、ヒスタミンなどを放出させる信号の伝達を妨げており、「アラジン1」が働かないマウスではアレルギー反応が激しく、「アラジン1」の効果も確認したというもの。
■カゴメ、ブロッコリースプラウトエキスに花粉症を抑制する効果があることを動物試験で確認 ― 2010年04月17日
カゴメ 総合研究所は、東京理科大学薬学部薬学科 谷中昭典教授との共同研究で、ブロッコリースプラウトエキスに花粉症を抑制する効果があることを動物試験で確認したとする研究内容を、日本薬学会第130年会(3月28日~30日、岡山)で発表した。ブロッコリースプラウト(以下、BS)には、スルフォラファンとよばれる成分が多く含まれており、このスルフォラファンが花粉症の指標のひとつである IgE(イムノグロブリンE)と呼ばれる抗体の産生を抑制することを、2006年にJunxiangらが細胞を用いた試験で報告したことから、スルフォラファンを多く含むブロッコリースプラウトエキスの摂取が花粉症を抑制できるのではないかとの考えに基づき、本研究を実施したもの。
BSエキスの摂取が花粉症に有効であるかを明らかにすることを目的とし、花粉症モデルマウスを用いて研究を行い、マウスにスギ花粉の抽出物を投与することで炎症を誘導した。その間BSエキスを混ぜた飼料を摂取させ、BSエキスがスギ花粉の抽出物によって誘導された炎症に与える影響を調べた。花粉症の指標として、マウスの腹腔の洗浄液を採取し、その中の好酸球やIgEを測定した。
その結果、BSエキスを摂取することでスギ花粉抽出物の投与によって誘導される好酸球やIgEが抑制されることが、明らかになり、花粉症を抑制する効果を持つことが示唆されたというもの。
▼【資料】 学会発表の要旨(PDF)
▼カゴメ>ニュースリリース>ブロッコリースプラウトエキスに花粉症を抑制する効果が期待 -カゴメ、東京理科大学との共同研究(2010/4/2)
■カテキンでアレルギー予防 ― 2009年01月03日
毎日新聞 ライフスタイル > 健康 > アーカイブ 2008/12/27
日本薬理学会近畿支部会で発表された、福井裕行・徳島大学大学院教授と伊藤園の共同研究によれば、緑茶の主成分のカテキンの一種がアレルギー疾患に関係する遺伝子の働きを抑制することが分かったという。福井教授らは、緑茶に含まれるカテキンの一種(抗酸化作用の強いエピガロカテキンガレート)が、ヒスタミン分泌にかかわる遺伝子(ヒスタミン受容体遺伝子)やアレルギー情報伝達物質の遺伝子の働きを抑えるかどうかを特殊な細胞を使って実験した結果、カテキンを添加した細胞は添加しない細胞に比べ、ヒスタミン受容体遺伝子の働きが抑制されることが分かったという。
■乳児の食物アレルギー、除去食は早く始めるほど有効 ― 2008年06月26日
Nikkei Medical Online HOT NEWS 2008/06/19
6カ月以内に治療開始で耐性獲得に大きな差第20回日本アレルギー学会春季臨床大会で、国立病院機構相模原病院小児科の小俣貴嗣氏が発表したところによれば、食物アレルギー(FA)が関与するアトピー性皮膚炎の乳児では、原因食物の除去と皮疹のコントロールを発症の初期に行うほど、耐性の獲得が早い可能性があることが分かった。
小俣氏は、食物除去負荷試験でFAと診断されたアトピー性皮膚炎の乳児を、「湿疹の出現から6カ月未満で治療を開始した」群(早期治療群)と、「湿疹の出現から6カ月を超えて治療を開始した」群(非早期治療群)の2群に分けて、特異的IgE抗体価の状況を比較検討した。
その結果、対象患児のうち卵アレルギーの患者では、2歳の時点で食物負荷試験で陰性となり、耐性獲得が確認できた患児の割合は、早期治療群(n=42)では45.2%だったのに対し、非早期治療群(n=38)では13.2%にとどまっており、治療開始が遅いと、原因抗原への耐性獲得が遅れる可能性があることが分かったというもの。
■加工食品のアレルギー表示、エビとカニも追加へ 厚労省 ― 2008年03月02日
加工食品の食物アレルギー表示について、厚生労働省は、小麦、そば、卵、乳、落花生の5品目ある表示義務の対象に、エビとカニを追加する方針を決めた。厚労省研究班(班長=海老沢元宏・国立病院機構相模原病院)が05年度、アレルギー患者約2300人を調べたところ、呼吸困難などショック症状が重かった食物は、義務対象の5品目(小麦、そば、卵、乳、落花生)に次ぐ6位がエビ、13位がカニと高かく、大豆やゼラチン、イカなどと同様に、メーカーに表示を促す「推奨」対象の20品目に含まれていた。
■乳酸菌LGG菌の効果 アトピー、ぜんそく、花粉症…症状軽減に期待 ― 2008年03月01日
毎日新聞 ライフスタイル > 健康 > アーカイブ 2008/02/23
ヨーグルトに含まれる乳酸菌の一つ、LGG菌が花粉症やアトピー性皮膚炎等のアレルギー症状の軽減に効くという話題についての記事。最近使われるようになった、「プロバイオティクス」という言葉で、生きたまま腸に届いて健康に良い働きをする微生物のことで、一部の乳酸菌もプロバイオティクスだ。
フィンランド、ツルク大学のセポ・サルミネン教授(食品化学)、エリカ・イソラウリ教授(小児科)らが、01年春にイギリスの医学雑誌「ランセット」に、乳酸菌LGG菌がアトピー性皮膚炎に効果がある可能性を示す研究報告を発表した。サルミネン教授らは、アトピー性皮膚炎の症状のある妊産婦132人に、出産予定日2~4週間前から出産後半年間にわたってLGG菌と偽薬を投与した。その結果、生まれてきた子どものアトピー性皮膚炎の発症率は、LGG菌を取った妊産婦の方が偽薬と比較し約半分と低くかった。
4歳の時点でも、LGG菌を投与した群ではアトピー性皮膚炎の発症頻度が低く、7歳時点で投与したLGG菌によるアトピー性皮膚炎発症の総合リスクの低減も継続的に観察された。
アトピー性皮膚炎に対するLGG菌の予防効果のメカニズムは、完全には解明されていないが、LGG菌によって腸内のバリアー機能が強くなり、アレルギーの原因となるアレルゲンが体内に吸収され難くくなるとためと推測される。乳酸菌のLGG菌は、1985年、アメリカのタフツ大のゴルディン教授、ゴルバッハ教授が人の腸内から発見し、フィンランドの会社が事業化し、世界40カ国以上でヨーグルトや乳酸菌飲料として商品化されている。
その特徴は、胃酸や胆汁酸に強いため、 生きたまま腸に届き、腸管への粘着性が高く、腸内の善玉菌を増やし、悪玉菌を減らす--などが挙げられる。
最近の研究では、母親の腸内細菌が子どもの腸内細菌に大きな影響を与えることも明らかにされ、妊娠した母親の腸内環境が良好だと、子どもがアレルギー体質を受け継がない可能性が高くなるという。普段の食生活で大切なのは、LGG菌を継続して取ること。 フィンランドではジュースのほかに、チーズや牛乳の中にもLGG菌を入れているという。 特に風邪などをひいて抗生物質を投与された時や、環境が大きく変わる海外旅行時などは積極的に取ることが必要だ。
■花粉、やや多め 山梨・埼玉は昨春の3倍、東京も倍以上 ― 2008年01月29日
環境省が24日、今春の花粉飛散量の予測(確定版)を発表したところによれば、東日本で平年(過去10年平均)並みかやや多く、西日本では平年並みかやや少ない「東高西低」型になると予想。飛散開始は例年より5~10日程度早くなるという。飛散量は、昨春と比べて、東日本が1.5~3倍、西日本は同じ程度。都道府県別では、埼玉、山梨が昨春の3倍以上、東京が2倍以上に、愛知で40%、福岡でも7%増えるが、大阪は10%程度減ると予測されている。 また、1月末には寒さが緩み、飛散開始は平年に比べ5~10日早くなる見込みだ。南房総や伊豆などの早い地域で1月末、東京や愛知では2月上旬、大阪、福岡でも同中旬までには始まるとみられている。
▼環境省>報道発表資料>「平成18年春の花粉総飛散量の予測(確定版)について」(平成18年1月25日)
■マクロファージ:掃除機にセンサー…ただし細胞の話 京大で解明、免疫疾患治療応用も ― 2007年10月30日
毎日新聞 ライフスタイル > 健康 > アーカイブ 2007/10/25
京都大医学研究科の長田重一教授らが、25日付の英科学誌ネイチャーに発表したところによれば、体内の“掃除屋”細胞と言われる「マクロファージ」が不要になった細胞を取り除く際、アレルギーなど免疫にかかわるたんぱく質がセンサーのように要不要を見分けていることを突き止めたという。細胞が死ぬと、有害物質が放たれて炎症が起きないように、マクロファージが細胞を取り込んで分解するが、免疫にかかわる「Tim1」「Tim4」が センサーの役目を果していて、これらを働けなくすると、マクロファージは細胞を取り込めなくなり、Timが死細胞を取り除くために必要だと分かった。
・花粉症にビールの苦み成分「ホップ」の抽出物が効く ― 2007年01月23日
YOMIURI ONLINE > 医療と介護 > ニュース 2007/01/10
日赤和歌山医療センターとサッポロビールの研究によれば、ビールの苦み成分「ホップ」の抽出物に、花粉症の症状を軽減する働きがあることがわかったという。ホップには腫瘍を抑制する働きなどがあることは知られていたが、アレルギー抑制効果が確認されたのは初めてで、3月の日本農芸化学会で発表される。研究チームによれば、ホップの抽出物に、くしゃみや鼻水といった花粉アレルギーの症状を引き起こす原因物質である「ヒスタミン」が免疫細胞から出てしまうのを抑える作用があることを確認した。 だが、ビールを飲んでも直接の効果はないという。
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