■禁煙太りでも健康効果大 心血管疾患のリスクが半減に ― 2013年05月25日
米マサチューセッツ総合病院などの研究チームが米医師会雑誌(JAMA)に発表した研究に依れば、禁煙で体重が増えても、心筋梗塞や脳卒中などの発症リスクは喫煙し続けるより約半分も減るという。
1984~2011年に米マサチューセッツ州フラミンガムの3,251人を対象に、喫煙者・禁煙して4年以内の人・禁煙して4年超の人・非喫煙者の何れかを4年毎に自己申告してもらい平均で25年を追跡した結果、631人が心筋梗塞や脳卒中などの心血管疾患を発症していた。
糖尿病患者を除くと、禁煙して「4年以内の人」は、4年平均で3Kg増え、喫煙者より1.8Kg多かった。一方、心血管疾患の発症リスクは喫煙者の0.47倍で、禁煙して「4年超の人」は喫煙者の0.46倍、非喫煙者は喫煙者の0.30倍だったこと依り、禁煙で体重が増えても、心血管への健康上の影響は全体としては利益が大きいと思われる。
■寝起きの一服は肺癌や口腔癌のリスクを高める ― 2013年05月21日
健康美容EXPO > 健康美容EXPOニュース > 海外ニュース:TOP > 癌 > 2013/04/25
米ペンシルベニア州立大学生物行動健康学助教授のSteven Branstetter氏らが、「Cancer Epidemiology, Biomarkers and Prevention」3月29日号に発表した研究に依れば、起床後直ぐタバコを吸う人はそうでない喫煙者に比べ肺癌や口腔癌を発症する可能性が高いという。
Branstetter氏らは、全米健康栄養調査(NHANES)に参加した成人喫煙者2,000人近くのデータを分析。被験者から得た血液検体と喫煙習慣に関する情報を分析した結果、被験者の約32%が起床後5分以内に最初の1本を吸い、31%が6~30分以内、18%が31~60分以内、19%が1時間以上経過してからタバコを吸っていた。
1日の喫煙量にかかわらず、起床後直ぐにタバコを吸う人では、起床後30分以上経過してから吸う人に比べてNNAL(NNKと呼ばれるタバコに特異的な発癌物質の副産物)の血中濃度が高かった。
起床後すぐにタバコを吸う人はより深く、より多く吸入するため血中NNAL濃度が高まり、肺癌や口腔癌のリスクが増大する可能性がある。血中NNAL濃度は年齢や性別、喫煙開始年齢、他の喫煙者との同居などの因子にも関連していた。
▼原題は、「'Wake-Up' Cigarette May Raise Risk for Lung, Mouth Cancers」
■喫煙で寿命10年縮まる 日英、日本人を60年以上調査 ― 2012年11月19日
放射線影響研究所(広島市)や英オックスフォード大が10月25日付の英医学誌電子版に発表した調査結果によれば、たばこを吸うと寿命が8~10年縮まることが判ったという。
研究は、被爆者の健康影響を調べるために放影研が60年以上続けている「寿命調査」の対象者のうち、喫煙の有無が判明している日本人(被爆していない人も含まれる)約68,000人を分析したもの。
未成年でたばこを吸い始めた男性(1920~45年生まれ)の72%は70歳まで生きた。一方、同じ年代でたばこを吸わない男性の72%は78歳まで生きた。たばこで寿命が8年縮まったことになる。女性は、寿命が10年縮まっていた。
この傾向は、被曝線量や飲酒の習慣、肥満度、年齢を考慮しても変わらず、喫煙開始年齢が遅くなると寿命への影響は小さくなった。
これまでの英米の大規模な疫学調査では、たばこで寿命が10年短くなるという結果が出ていた。またこれまでの国内の疫学調査でも、影響は4年程度に留まるとされていたが、従来の国内の調査には喫煙開始年齢が比較的遅く、吸う本数も少なかった1920年以前に生まれた人が多く含まれていたため、影響が過小評価されていたと、研究チームは分析している。
■禁煙がもたらす別のメリット――日常の記憶力が向上 ― 2011年11月15日
NikkeiNet いきいき健康 海外ニュース 2011/09/29
英ノーサンブリア大学(Northumbria University)の心理学者、トム・ヘファーナン(Tom Heffernan)教授らが、学術誌「Drug and Alcohol Dependence」に発表したところによれば、喫煙習慣を止めると日常記憶の向上に有用であるという。
今回の研究は、喫煙者27人・元喫煙者18人および喫煙未経験者24人を対象に記憶テストを実施したもの。テストでは、被験者に大学キャンパスのさまざまな場所で、与えられた課題を思い出してもらった。元喫煙者は課題の74%、喫煙未経験者は81%を記憶していたのに対し、喫煙者は課題の59%にとどまった。
従来の研究では、新しい情報を学習し、後でそれを取り出す能力である「回想的記憶」が、禁煙すると向上することは明らかになっていたが、今回の研究はこの「回想的記憶」とは別の「展望的記憶」で、未来のある時点で、ある行動をとることを覚えておくことのできる能力を指すものである。
▼原文:Quitting Smoking Could Give Memory a Boost
■朝、起床直後の喫煙はがんリスクを高める ― 2011年09月08日
米ペンシルベニア州立大学医学部(ハーシー)のJoshua Muscat氏らが、医学誌「Cancer」オンライン版8月8日に発表した研究によれば、朝、起床直後にたばこを吸う喫煙者は、より遅い時間に最初の1本を吸う人に比べて、肺がんおよび頭頸部がんのリスクが高くなるという。朝起きて直ぐにたばこを吸う喫煙者は、30分以上吸わない喫煙者に比べて、体内のニコチン濃度や他のたばこの毒素の濃度が高く、たばこへの依存度がより高い可能性があるという。
今回の研究では、肺がん患者4775人と肺がん患者でない喫煙者2835人を比較した結果、目覚めてから31~60分後に喫煙した人は、1時間以上後に喫煙した人に比べて、肺がんを発症する可能性が1.3倍高く、30分以内に喫煙した人では1.79倍高かったという。更に、別の分析で頭頸部がんを有する喫煙者1055人と頭頸部がんでない喫煙者795人を比較した結果、目覚めてから31~60分後に喫煙した人は、60分以上後に喫煙した人に比べて頭頸部がん発症の可能性が1.42倍高く、30分以内に喫煙した人では1.59倍高かったという。
▼原文:Early Morning Smoking Riskier For Cancer
■「タバコの煙に安全レベルなし」、2~3本でも危険 米報告書 ― 2010年12月12日
AFP BB News > ライフ・カルチャー >ヘルス 2010/12/10
12月9日に発表された米公衆衛生局長官報告書の最新版によれば、偶に喫煙するだけの場合や、受動喫煙であっても、循環器やその他の健康障害を招き得るという。本報告書によれば、必ずしもヘビースモーカーや長期喫煙者でなくても、喫煙関連疾患に罹ったり、タバコの煙が誘因となる心臓発作やぜんそくの発作は起きる。受動喫煙の低レベルの暴露でも、急速かつ著しく血管内の機能障害、炎症は増加し、心臓発作や脳卒中に関わると警告している。
この最新版で、タバコの煙には、吸っても安全なレベルはないということが立証されたという。1日の喫煙本数が2~3本だったり、偶にしか吸わない、或いは受動喫煙といった低レベルの暴露でさえ、心血管事故のリスクを大幅に増加させるに十分だとの証拠も挙げられ、更に、タバコの煙への暴露に対する健康リスクの増加は直線的ではないという新見解も加わったという。
■中年期にヘビースモーカーだと認知症リスクは2倍超 ― 2010年11月14日
Nikkei Medical Online HOT NEWS 2010/11/11
Arch Intern Med誌からフィンランドEastern Finland大学のMinna Rusanen氏らが、Arch Intern Med誌電子版に2010年10月25日に発表した研究によれば、50~60歳時にヘビースモーカーだった人の約20年後の認知症リスクは、非喫煙者の2.14倍、アルツハイマー病(AD)リスクは、2.57倍、脳血管性認知症(VaD)リスクは2.72倍になるという。
医療保険グループである北カリフォルニアKaiser Permanente Medical Care Programに加入し、1978~85年に行われた健康診断を受診して喫煙量に関する情報などを提供した人々の中で、年齢が 50~60歳で、94年の時点で生存しており、引き続きこの医療保険グループに加入していた2万1123人(平均年齢71.6歳)を分析の対象とした。
認知症の罹患率は、人種間で有意に異なっていて、白人に比べ黒人に多く、東洋人には少なかった。
認知症リスク上昇は、2箱/日 以上喫煙していたグループで顕著だった。年齢、性別、学歴、人種、配偶者の有無、高血圧、脂質異常症、BMI、糖尿病、心疾患、脳卒中、飲酒で調整して、非喫煙者と比較した認知症リスクを求めたところ、喫煙量が0.5箱/日 未満群の調整ハザード比は1.04(0.91-1.20)、0.5~1箱/日 群では1.37(1.23-1.52)、1~2箱/日 群は1.44(1.26-1.64)、2箱/日 以上群は2.14(1.65-2.78)となった。過去の喫煙者のハザード比は1.00(0.94-1.07)で、リスク上昇は見られなかった。アルツハイマー病(AD)についても、2箱/日 以上の人々に顕著なリスク上昇が認められた。非喫煙者に比べ、喫煙量が2箱/日 以上の人々の調整ハザード比は、2.57(1.63-4.03)だった。それ以外のグループのリスク上昇は有意でなかった。1~2箱/日 群は1.18(0.92-1.52)、0.5~1箱/日 群は1.11(0.90-1.36)、0.5箱/日 未満群は 0.80(0.61-1.06)、過去の喫煙者は1.00(0.89-1.13)。
1 日に2箱以上喫煙していた人々の認知症リスク上昇は、性別や人種にかかわらず認められた。中年期にヘビースモーカーだった人の約20年後の認知症リスクは非喫煙者の2倍以上で、喫煙の脳への影響は長期にわたると考えられた。
原題:「Heavy Smoking in Midlife and Long-term Risk of Alzheimer Disease and Vascular Dementia」
■がん予防 まず禁煙・節酒…厚労省研究班 ― 2009年03月02日
YOMIURI ONLINE > 医療と介護 > ニュース 2009/02/20
ダイエットより効果
厚生労働省研究班(主任研究者=津金昌一郎・国立がんセンター予防研究部長)が、40~69歳の男女約96,000人を、生活習慣の喫煙、飲酒、肥満の三つの要因と、がんや心筋梗塞など循環器系の病気との関について、10~13年間追跡調査した結果から、がんや心筋梗塞などの予防には、肥満の改善よりも、まず禁煙やお酒を飲み過ぎないことが重要であることが判ったという。全体的には、禁煙した場合と飲酒量を減らした場合、10年後の生存率は全ての年齢で上がるが、BMI(体重Kgを身長mの2で割った値で、標準は22)を改善しても生存率に変化は無かった。
男性の「たばこは吸わず、飲酒は時々、BMI=25~27」のグループについては、10年後も、がんや循環器系の病気にならずに生存する割合が最も高く、健康的だった。逆に「喫煙40本以上/日、2合/日(日本酒の場合)以上の飲酒、BMI 30以上」のグループが、最も不健康50~54歳の男性で「最も不健康なグループ」は、「最も健康的なグループ」に比べると、10年間でがんになる人は2.8倍、循環器系の病気は4.8倍となる。
■無煙たばこ製品も癌リスクを増大させる ― 2008年07月29日
仏、国際癌研究機関(International Agency for Research on Cancer)のPaolo Boffeta博士らの研究チームが、英医学誌「Lancet Oncology」7月号(肺癌特集号)に発表したところによれば、「嗅ぎたばこ」「噛みたばこ」などの無煙たばこ製品(STP)によっても、喫煙ほどではないものの、癌リスクが増大するという。無煙たばこ製品には、ニトロソアミン、金属類など、30種類を超える発癌性物質が含まれており、世界各国の研究を分析した結果、無煙たばこ製品を使用する人は口腔癌リスクが80%、食道癌リスクが60%高いことが判明したほか、膵癌にも同程度のリスク増大が認められた。米国の研究では肺癌リスクが80%増大することも示されたという。
しかし、たばこを一切使用しない人よりは、無煙たばこ使用者の方が癌リスクは高いものの、米国およびヨーロッパのデータでは、癌リスク、特に口腔癌および肺癌のリスクは、喫煙者よりも無煙たばこ使用者の方が低いという。
同号に掲載された別の論文では、特定のバイオマーカーについてDNAスクリーニングを行うことによって、受動喫煙での肺癌リスクを評価できることが示された。たばこの煙に含まれる発癌物質の多くがDNA付加体と呼ばれるDNAの損傷を引き起こし、癌関連遺伝子の特定部位に変異を生じさせる形で特有の痕跡を残すことが知られているという。 現在、この痕跡の検知にはDNA損傷フットプリント法と呼ばれる技術と変異原性解析法が併用されている。
▼原文: Smokeless Tobacco Products Do Raise Cancer Risk
■喫煙で記憶力減退の恐れ――仏研究機関調査 ― 2008年06月21日
研究者らは、喫煙は認知症のリスクファクターであると結論づけている
「Archives of Internal Medicine」の6月9日号に掲載された仏国立保健医学研究所(INSERM)の研究によれば、中年期の喫煙は記憶力の減退及び論理的思考能力の低下と関連があること、かなり前に禁煙した元喫煙者は記憶力、語彙、言葉の流暢さが減退する傾向が低くなること、中年期に喫煙を止めると他の健康習慣も改善されることを結論として挙げている。この研究は、1985~1988年に健康調査に参加した35~55歳のロンドンの公務員を対象に、調査参加時および1997~1999年の喫煙習慣を評価したもので、そのうち5388人が1997~1999年に記憶、論理的思考、語彙、言葉の流暢さのテストを受け、4659人が5年後に再度テストを受けた結果を纏めたもの。
初回のテストでは、調査開始時に喫煙していた被験者は、喫煙したことがない被験者と比較して、成績が低いグループ(下位20%)に入る傾向が高く、また当時、元喫煙者だった被験者は、語彙と言葉の流暢さのテストで低い点を取る確率が喫煙者よりも30%低かったという。
また調査期間中に喫煙を止めた被験者は、アルコール摂取を控えたり、運動を増やしたり、野菜や果物の摂取をやしたなど、他の健康習慣も改善が見られたという。
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