■大豆食品の摂取が乳癌サバイバーの死亡と再発リスクを低減 ― 2010年01月11日
Nikkei Medical Online HOT NEWS 2010/01/04
米Vanderbilt大学のXiao Ou Shu氏らが、JAMA誌2009年12月9日号に発表したところによれば、中国の乳癌サバイバーを対象とする最大規模のコホート研究を実施して、大豆食品の日常的な大量摂取が、総死亡と乳癌再発のリスクを低減することを明らかにした。但し、中国人の大豆食品摂取量は日本人よりかなり多く、日本人の平均摂取量(16~22mg/日)の3倍を超える量を食べる必要があるという。大豆食品は、植物エストロゲンのイソフラボンを豊富に含む。一方、女性ホルモンのエストロゲンは、乳癌の発生と進行に大きく関わることが知られている。イソフラボンは体内でエストロゲンと拮抗するため、乳癌リスクを下げると考えられてきたが、乳癌を発症した女性に対する作用は明らかではなかった。
著者らは、上海市癌登録に登録されている乳癌患者の中から、外科的治療を受けエストロゲン受容体の過剰発現の有無とタモキシフェン投与歴が明らかな女性を選出し、乳癌診断後の大豆食品摂取と総死亡、癌再発の関係を調べたもので、20~75歳で、02年3月~06年4月に乳癌の診断を受け、診断から約6カ月が経過している女性5042人を登録、09年6月まで追跡した。
登録時に、癌の診断と治療、癌診断後のライフスタイル、病気の進行に関する情報を構造的質問票を用いて収集。診断から18カ月時、36カ月時、60カ月時にも同様に調査した。同時に食物摂取頻度調査を実施。6カ月の時点では過去6カ月間、18カ月の時点では過去12カ月間、36カ月の時点では過去18カ月間の食習慣を尋ねた。肉、魚、アブラナ科の野菜などと共に大豆食品の摂取量を調べて、大豆たんぱく質の摂取量とイソフラボン摂取量を推定した。
6カ月時(登録時)に大豆食品を多く摂取していた女性では、そうでない女性に比べ、肉や魚、アブラナ科の野菜の摂取量が多かった。化学療法と根治的乳房切除術のいずれかまたは両方を受けている割合も高く、BMIは高いものの運動量は多く、ビタミンサプリメント摂取者の割合も高かった。
乳癌サバイバーを対象に乳癌の臨床転帰と大豆食品摂取の関係を調べた今回の研究の結果は、大豆食品の摂取が死亡と再発のリスクを有意に低下させる可能性を示し、大豆食品の摂取量と死亡・再発の逆相関関係は、大豆たんぱく質の摂取が11g/日以上になると直線的な用量反応関係を示した。
ちなみに、中国の人々の大豆食品摂取量は他国に比べて多く、イソフラボン摂取量に換算すると、米国人女性は平均1~6mg/日、中国人女性は47mg /日、日本人の平均摂取量は16~22mg/日(2002年の国民栄養調査値)。
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