嗅覚の低下がアルツハイマー病の予測因子に ― 2007年07月23日

米医学誌「Archives of General Psychiatry」7月号に掲載された、米ラッシュRushアルツハイマー病センター(シカゴ)神経心理学教授のRobert S. Wilson氏らの研究によれば、嗅覚の低下が認知障害の初期の徴候である可能性が示された。既に軽度の認知障害がある人に嗅覚の低下がみられることは過去に報告されているが、今回の研究では、平均年齢約80歳の高齢者589人を対象に、12種類の匂いを嗅がせ、それぞれ4つの選択肢から同じ匂いを選ばせる嗅覚検査を実施。
その後、神経機能および認知機能の検査を年1回、5年間行った。研究期間中に117人が軽度の認知障害を発症。嗅覚検査の成績が平均未満の人は、平均以上だった人に比べ軽度認知障害の発症率が50%高かったというこの結果は、アルツハイマー病が脳の特定部位の障害から始まり、それが広がって思考領域を侵していくという考えに一致するものだという。米ペンシルベニア大学メディカルセンターのRichard L. Doty氏によると、この検査はすでに臨床の場で利用されており、パーキンソン病およびアルツハイマー病の患者を血縁者にもつ人を対象にこの検査を実施した結果、後に疾患を発症する人には嗅覚の低下がみられることが示されている。鑑別診断にこの検査を利用する神経科医もいるという。
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