■天気が悪くなるとリウマチが痛むのには科学的な根拠があった - 京大 ― 2014年03月08日

京大 医学研究科附属 ゲノム医学センターの寺尾知可史 特定助教、同・病院 リウマチセンターの橋本求 特定助教らの共同研究チームが、米国東部時間1月15日付けで米オンライン科学誌「PLoS ONE」に発表したところに依れば、同大学の医学部附属病院に通院しているリウマチ患者のデータベース「KURAMA(Kyoto University Rheumatoid Arthritis Management Alliance)コホート」と、気象庁がホームページにて公開している気象統計情報(気圧、気温、湿度)との相関を統計学的に解析し、同患者の関節の腫れや痛みの指標と、気象データの「気圧」との間に、負の相関が見られる(気圧が低いほど、関節の腫れや痛みの指標が悪化する)ことを見出したという。
関節リウマチは、関節に炎症が起こり腫れて痛む病気で、女性に多く、全人口の約1%が罹患し、日本全国でも70万人の患者がいるとされる(毎年1万5000人が新たに発病しているという)。進行すると関節が変形し使えなくなってしまうため、患者の日常生活に重大な支障を来してしまい、QOLが大きく下がってしまう病気である。
原因はまだ十分には解明されていないが、自分の体の一部にも関わらず、免疫系が関節を外敵と間違って攻撃してしまうことが原因とされている。但し、近年になり、腫瘍壊死因子「TNF-α(Tumor necrosis factor-α)」という炎症を引き起こす物質が関わっていることが同定されたことから、治療法が大きく進展し、TNF-αをターゲットとした治療薬(生物学的製剤)が既に利用され、治療成績が目覚ましく進歩してきている。
関節リウマチ患者の間では、昔から「天気が悪くなるとリウマチが悪化する」とか「リウマチの痛みが悪化することで、これから天気が悪くなるのが判る。」という実感があることは、よく知られていた。しかし、単なる個々人の実感だけなのか、統計学的に見た時に、気象との相関が事実として見られるのかは、これまでに研究されたことがなかった。
研究チームは、KURAMAコホートに登録されている関節リウマチ患者の臨床データと、気象庁の気象データとの相関を解析することにし、評価回数の多い患者を抜き出し、同一患者における関節症状の各要素と、気象における各要素との相関を調べた結果、以下の4点が判った。この結果は、リウマチ患者の実感ともよく合致するものだという。
- リウマチ患者の関節の腫れや痛みの指標と、気象データの内の「気圧」とは統計学的に負に相関する。
(気圧が低いほど、関節リウマチの腫れや痛みの指標が悪化する)。- 「湿度」も相関するが、「気圧」は「湿度」「気温」の影響を加味しても相関する。
「気温」との間には相関が見られなかったという。- リウマチの評価日から見て、3日前の「気圧」が最もよく相関する。
- 血液検査の炎症を表す数値との間には、相関が見られない。
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