■乳酸菌の継続摂取により乳がんの発症リスクは低減できる - ヤクルトが確認 ― 2013年08月29日

ヤクルトが7月18日に発表したところに依れば、乳酸菌摂取と乳がん発症との関連を検討する目的で実施した疫学研究の結果、子どもの頃も含めた過去の食習慣で乳酸菌「ラクトバチルス カゼイ シロタ株(L.カゼイ・シロタ株)」を習慣的に摂ってきた人は、そうでない人に比べて乳がん発症リスクが低いことを確認したという。
この成果は、パブリックヘルスリサーチセンターのがん臨床研究支援事業の一環として実施された研究者主導・疫学研究「乳酸菌摂取と乳がんの関連を検討するケース・コントロール研究」(研究代表者は京都大学医学部付属病院乳腺外科の戸井雅和 教授、統計解析責任者は東京大学大学院医学系研究科健康科学看護学専攻の大橋靖雄 教授)によるもので、詳細は科学雑誌「Current Nutrition and Food Science」に掲載された。
乳がんは日本人女性が罹るガンの1位となっており、今後も罹患者数、死亡者数ともに増え続けることが予想されている。その増加の要因は、女性ホルモンの分泌が盛んな時期の長さに影響を受けることが知られているが、生活習慣、特に食習慣の関わりも大きいことが示唆されており、これまでの研究から、乳がん発症を抑制する食品因子として大豆イソフラボンが報告されているほか、プロバイオティクスのガン予防効果について関心が持たれるようになってきている。
今回、ケースコントロール研究として、乳がん罹患者(ケース群)と非罹患者(コントロール群)との間で過去の生活習慣を調べ、L.カゼイ・シロタ株および大豆イソフラボンの摂取と乳がん発症の関連性を調査した。
ケース群として国内14の病院から選定した40~55歳の女性の初期乳がん患者(術後1年以内)306名、コントロール群として非罹患者662名(ケース群1名に対して年齢および居住地域が似通った人2名)を選定し、面接調査を実施し、10~12歳、20歳、10~15年前におけるそれぞれのL.カゼイ・シロタ株および大豆イソフラボンを含む飲食物の摂取状況を聞き、これら因子と乳がん発症リスクとの相関性を調べた結果、L.カゼイ・シロタ株の摂取頻度を週4回以上と週4回未満で比較した場合、週4回未満の乳がん発症リスクを1とすると、週4回以上のオッズ比は0.65となり、L.カゼイ・ シロタ株の摂取頻度が高いほど、乳がん発症のリスクが低減することが示されたというもの。
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