■腸からはじめる全身アンチエイジング ― 2012年02月06日
腸からはじめる全身アンチエイジング
http://www.nikkei.com/life/health/article/g=96958A9C93819499E0E2E2E1E38DE0E2E3E0E0E2E3E3E2E2E2E2E2E2;p=9694E0E0E2E6E0E2E3E2EBEBE0E5
日経新聞 ライフ ヘルス 日経ヘルス&プルミエ 2011/12/25
日経新聞 ライフ ヘルス 日経ヘルス&プルミエ 2011/12/25
腸は、消化吸収だけでなく、免疫や美肌にも深くかかわるアンチエイジングのための大切な器官。腸の健康を保つためには、乳酸菌とビフィズス菌を組み合わせて摂ると良いことや、腸が驚くほど多彩な役割を持っていることが分かってきました。最近の研究に依れば腸の状況いかんで、肌の保水量やハリに変化を生じることや、痩せたり太ったりすることが分かり、アンチエイジングを司る器官だということが明らかになってきました。そして、その腸の若さと健康を保つために不可欠なのが、腸内細菌のバランスを良好に保つことなのです。
■腸が健康だとこんなに嬉しいことが!
腸内環境が悪化して、“善玉菌”より“悪玉菌”が優勢になると、腸内で有害な物質が作られて吸収されるので、肌や血管の老化を引き起こす原因にもなる。
- 便通が良くなる
- 免疫力が高まる
- 美肌を保ち易くなる
- 肥満を抑える
- ストレスの緩和
- 生活習慣病を予防する
東北大学大学院農学研究科教授の齋藤忠夫さんによれば、新しい遺伝子解析法の一つである“メタゲノム解析”を使って調べたところ、体の全細胞数の実に150倍に当たる9000兆個も腸内細菌がいることが分かった。これぼどの沢山の菌の中で“善玉菌”はほんの一握りだったので、腸の健康を保つには、いかに少数派の善玉菌を維持するかが重要になるという。
善玉菌を一定レベルに保つための一つの方法が、外から補うこと。乳酸菌やビフィズス菌を含む発酵食品を日々摂取すれば、これらの菌が腸で働くだけでなく、元々腸にいた善玉菌を元気にして腸内環境を整えてくれる。
また、2006年に腸内細菌が肥満に関係する可能性があるという研究結果が示された。人を対象とした調査でも、肥満型と痩せ型で腸内細菌のバランスが異なり、肥満の人が食事制限で痩せると、1 年後には痩せ型特有の腸内細菌バランスに変化することも分かった。つまり腸内細菌をコントロールすることで、ボディラインのコントロールが可能になるかもしれない。一方、腸は外敵から身を守る上でも最も大切な器官。腸は体の中で最大の免疫器官で、免疫機能の6~7割を担っている。これを “腸管免疫”というが、この腸管免疫の機能は加齢と共に低下する。
肥満や感染を防ぐためにも、乳酸菌やビフィズス菌などが入った食品を摂ることは有効で、乳酸菌やビフィズス菌を新たに腸内に摂り入れることが刺激になって腸内菌叢が変化し腸管免疫の機能を高める。■乳酸菌やビフィズス菌で続々報告される健康効果
乳酸菌やビフィズス菌の基本的機能は、お腹の調子を整える“整腸”作用。発酵作用により乳酸を作り出し、酸性の乳酸が増えると、腸の中がアルカリ性好きの悪玉菌にとっては、棲み難くい環境になる。また、乳酸が腸を刺激してぜん動運動を促すと共に、腸の中に水分を呼び込み便を排泄し易い硬さにすることで、便秘や下痢を防ぐ。
■内臓脂肪や皮下脂肪も乳酸菌が抑える?!
悪玉菌が多いと、さまざま有害物質が多く作られ吸収されることで肌荒れの原因になると考えられるから、腸内環境が改善すると、肌荒れやニキビなどの改善にもつながる。
「ガセリ菌SP株」という乳酸菌を含んだ発酵乳を食べた試験では、内臓脂肪が平均4.6%、皮下脂肪が3.3%減少した。この菌は、日本人の腸内から採った乳酸菌で、整腸作用や、血中コレステロール低下作用があり、小腸に多く存在し、小腸の腸内細菌バランスを良くすることで、ぜん動運動を活発にする作用のために小腸で脂肪が十分に吸収しきらないうちに便として排泄し、肥満を抑制するのではと考えられている。
■ビフィズス菌がつくる酢酸の働きに注目乳酸菌とビフィズス菌は、善玉菌として一括りにされることが多く、その違いは意外と知られていない。乳酸菌は小腸と大腸に多く分布し、“小さな糖”をエサにするが、ビフィズス菌は殆ど大腸にしかおらず、乳酸菌がエサとしないオリゴ糖などの“大きな糖”を食べる。その代謝物として乳酸菌が作らないとされる酢酸を作る。このビフィズス菌が作る酢酸が病原菌の感染予防に関与するという研究が報告されて注目を集めている。
■乳酸菌とビフィズス菌入りのヨーグルトを選ぶ
理化学研究所、東京大学、横浜市立大学の共同研究により、ビフィズス菌が酢酸を沢山作ると、O157の感染を防ぐ腸管の抵抗力を高めるということを明らかになった。
無菌マウスを使った実験に依れば、ビフィズス菌を飲ませない群、酢酸を少し作るビフィズス菌と酢酸を多く作るビフィズス菌をそれぞれ飲ませた群の3群に分け、1週間後に病原性大腸菌O157を経口感染させ経過を観察したところ、ビフィズス菌を飲まなかった群と酢酸を少ししか作らないビフィズス菌を飲んだマウスは全て死亡したが、酢酸を多く作るビフィズス菌を飲んだマウスは、O157投与2週間後も全て生きていた。
更に、酢酸は大腸の細胞の重要な栄養源にもなる。ほかに腸内細菌が作る酪酸などを含め、短鎖脂肪酸と呼ばれるこれらの成分から、ヒトが得るエネルギーは、1日の総摂取カロリーの2~10%になるともいわれる。
また、短鎖脂肪酸には腸管のバリア機能を高める作用のほか、老化の原因の一つである炎症を抑える作用もある。この短鎖脂肪酸を作り出すためには、腸内細菌のエサとなる食物繊維などが豊富な食事をすることも必要です。このように、腸内環境を整えると共に、腸管免疫を正常に働かせるためにも大切な乳酸菌やビフィズス菌は、それぞれの持ち場で独自の働きをしているから、小腸と大腸の両方の健康を保つためには、乳酸菌とビフィズス菌が入ったヨーグルトなどを選ぶのが良い。
乳酸菌やビフィズス菌は、人それぞれの相性もあるので、自分に合った菌を見つけるには、まずは1週間ほど同じものを試す。便の調子が良ければ、合っている証拠だ。
効果を高める「摂取のタイミング」もある。乳酸菌やビフィズス菌自体の効果を得たいなら、胃酸の影響を受けにくい食後がお勧め。ヨーグルトに含まれるカルシウムの効果を高めるには、胃酸の作用が働きや易くなることで、カルシウムの吸収が高まる空腹時が良い。また、乳たんぱくは、鎮静作用や睡眠誘導作用のある成分の元になるので、寝る前に食べれば心地よい眠りを得られる可能性がある。毎日の食生活で上手に乳酸菌とビフィズス菌を摂り、キレイと若々しさを維持しよう!!!。
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