■ビタミンや抗酸化サプリに心血管疾患の予防効果なし ― 2013年03月06日
ビタミンや抗酸化サプリに心血管疾患の予防効果なし
http://medical.nikkeibp.co.jp/inc/mem/pub/hotnews/bmj/201302/528926.html
Nikkei Medical Online ニュース 2013/02/08
Nikkei Medical Online ニュース 2013/02/08
韓国ソウル大学校のSeung-Kwon Myung氏らが、BMJ誌2013年1月18日号に報告した研究に依れば、ビタミンや抗酸化サプリメントの心血管イベントに対する影響を調べた結果、どのサプリメントにも有意な予防効果が認められなかったという。
野菜や果物を積極的に食べると心血管リスクが低下するという研究結果に基づいて、それらに含まれるビタミンや抗酸化物質をサプリメントとして使用した場合の影響は、一貫した結果は得られていなかった。著者らは、ビタミンサプリメントと抗酸化サプリメントの心血管疾患予防効果を評価するために、RCTを対象にシステマテックレビューとメタアナリシスを行った。
PubMed、EMBASE、コクランライブラリ、Scopus、CINAHL、ClinicalTrial.govに登録されていた研究の中から、ビタミン又は抗酸化サプリメントの心血管疾患予防効果を評価し、追跡期間が6カ月以上の50件のRCTを抽出し分析した。これらのRCTには、合計294,478人が登録され、うち156,663人が介入群、137,815人が対照群に割り付けられていた。
追跡期間は6カ月~12年で、各RCTへの登録者の数は61~3万9876人だった。30件が心血管疾患の一次予防効果を調べており、二重盲検試験は45件で、5件はオープンラベル試験だった。評価対象は、ビタミンA・ビタミンB6・ビタミンB12・ビタミンC・ビタミンD・ビタミンE・βカロテン・葉酸・セレンで、単剤投与若しくは併用されており、評価指標の主要な心血管イベントは、心血管死亡・狭心症・致死的又は非致死的心筋梗塞・脳卒中・一過性脳虚血発作等。
固定効果モデルを用いたメタアナリシスは、介入群の相対リスクは1.00で、ビタミンサプリメントや抗酸化サプリメントの使用と主要な心血管イベントのリスクには有意な関係は見られなかった。
サブグループ解析では、一次予防若しくは二次予防、ビタミンと抗酸化サプリメントの種類と用量・心血管アウトカムの種類(心血管死亡・狭心症・致死的または非致死的心筋梗塞・脳卒中・一過性脳虚血発作)・試験設計・研究の質・試験期間(5年未満・5年以上)・資金源(製薬会社・それ以外)・ビタミンサプリメントと抗酸化サプリメントの提供者(製薬会社・それ以外)・対照群のタイプ(プラセボ投与の有無)・個々の研究の登録者数(1万人未満・1万人以上)等にて登録者を層別化して分析したが、ビタミンサプリメントと抗酸化サプリメントによる心血管イベントの予防効果は示されなかった。
尚、心血管アウトカムの種類で層別化したサブグループ解析では、ビタミンサプリメントや抗酸化サプリメントの使用は、狭心症リスクの僅かな上昇に関係していることが示唆された。又、低用量のビタミンB6の使用は、主要な心血管イベントリスクを低下させたが、これらの有意差は、質の高いRCTのみを解析対象にすると消失した。 質の高い試験において、ビタミンB6の使用は心血管死亡リスクの低下と関係し、ビタミンEの使用も心筋梗塞リスクの低下と関係していた。但しこれらの有意差は、製薬会社からサプリメントの提供を受けていた研究のみに認められ、サプリメントを購入または別の組織から調達していた研究では認められなかった。
▼原題は、「Efficacy of vitamin and antioxidant supplements in prevention of cardiovascular disease: systematic review and meta-analysis of randomised controlled trials」
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