■ラクトフェリンの摂取がウイルス感染性胃腸炎を抑制する!? - 森永乳業 ― 2013年02月14日

森永乳業が1月7日に発表したところに依れば、乳由来のたんぱく質「ラクトフェリン(LF)」がノロウイルスやロタウイルスなどのウイルスの表面及びその感染部位である消化管細胞と結合し、ウイルスが消化管細胞に感染することを抑制してウイルス感染性胃腸炎の抑制や症状の緩和につながると発表した。
今回の研究は、同社が約50年間にわたるラクトフェリンの研究の中から、ウイルス感染性胃腸炎に対する可能性を纏め、ラクトフェリンの活用の可能性について検討を行ったもの。
1つ目の研究は、2009年に報告されたもので、5歳未満の保育園児に、同社提供のLF含有食品(LF400mg入り錠菓)を16週間摂取してもった結果、ノロウイルス感染性胃腸炎の発症率は、非摂取群(対照群)が7/45人であったのに対し、摂取群(LF群)は2/46人と有意に少ない結果となった。また、摂取群の2人の感染者においても検出強度が弱く、感染量が少なかったという。
2つ目の研究は、2007年に報告されたもので、5歳未満の保育園児に、LF 100mg/日を含むヨーグルト又は錠菓を12週間摂取してもらった結果、ロタウイルス感染性胃腸炎の発症率に差は認められなかったものの、ロタウイルス感染性胃腸炎を発症した園児の嘔吐、下痢の頻度(回数)と期間(日数)は、摂取群(LF群)で非摂取群(対照群)に対して有意に少なかったという。
3つ目の研究は、2010年に報告されたもので、母乳中からノロウイルス様粒子と結合する成分を探索した結果、LFが検出されたというもので、ヒト腸上皮様細胞(Caco-2細胞)にノロウイルス様粒子を添加する際、ラクトフェリンも添加すると濃度依存的にノロウイルス様粒子のCaco-2細胞への付着が抑制され、ラクトフェリンがノロウイルスと結合することで、ノロウイルスが腸上皮細胞に感染するのを抑制するという。
4つ目の研究は、2003年に報告されたもので、ノロウイルスの代替としてネコカリシウイルスの細胞感染モデル試験。このウイルスを細胞に感染させると8割の細胞が死ぬが、LFと細胞を接触させた後に細胞を洗ってからこのウイルスを添加したところ、細胞死が抑制されることが確認されたが、感染させた後にLFを添加しても細胞死は抑制されなかった。 細胞とLFを接触させるとLFは細胞表層に結合し付着することで、ウイルスの感染を抑制することが示唆されたもの。
これらの研究報告から、LFの経口摂取による感染性胃腸炎の症状緩和のメカニズムとして、LFがウイルスや消化管細胞に結合し、ウイルスの消化管細胞への感染を抑制することにより、感染性胃腸炎の発症抑制や症状緩和が見られた可能性が示されたとしている。
コメント
トラックバック
このエントリのトラックバックURL: http://health-info.asablo.jp/blog/2013/02/14/6720629/tb
※なお、送られたトラックバックはブログの管理者が確認するまで公開されません。
コメントをどうぞ
※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。
※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。