■ビタミンCは抗がん剤よりも効果が大きい? ― 2009年07月16日
健康増進クリニック院長の水上治氏著『超高濃度ビタミンC点滴療法』(PHP研究所)に紹介されている新しいがん治療について▼辛抱強く投与すれば副作用なくがん細胞を峻別攻撃
ビタミンCに抗がん作用があることは、かなり昔から言われていた。ノーベル化学賞と平和賞を受賞したライナス・ポーリング博士が発表した1976年の論文は、下記のようなもので驚異的だった。
治療不能の進行がん患者100人に、毎日10gのビタミンCを投与し、投与されないがん患者(コントロール群)1000人の生存日数と比較。500日の時点でコントロール群1000人全員が死亡したのに対し、ビタミンC群は11/100人が生存。平均生存日数は、ビタミンC群がコントロール群の4.2倍もあった。最終的に、ビタミンC群はコントロール群に比べ300日以上長く生存した。
というもので、こうした貴重な事実が世界に浸透しなかったのは、米国のメイヨー医科大学が「効果がない」とする臨床結果を発表した為だった。後年、メイヨー医大の実験には問題点があったことが発覚。ビタミンCの血中濃度を高めるためには「点滴」が必要だったにも関わらず「内服」で行われていたというものだった。▼過酸化水素ががん細胞を殺す
なぜ、ビタミンCががん細胞を殺すのか? ビタミンCは抗酸化物質だが、自分が酸化されるプロセスの中で過酸化水素を大量に発生し、これががん細胞を殺傷することが分かってきた。
正常細胞にはカタラーゼという酵素が存在し、過酸化水素を水と酸素に分解してしまうので、全く害を受けないのに対して、がん細胞はこの酵素が少ないので、過酸化水素によって殺傷される。こうした理由から、正常細胞を傷つけずに、ガン細胞だけを殺傷するという、非常に優れた特徴を持つことになる。
抗がん剤がのような副作用を伴わずに、がん細胞だけを殺傷する「ビタミンC」は、抗がん作用、免疫力の増強、そして活性酸素を抑えるという働きによって、再発・転移予防の能力に優れている。▼血中の濃度を高めることが重要
「超高濃度ビタミンC点滴療法」で、重要なことは、血中のビタミンC濃度を目標数値まで上げること。血中濃度を350~400mg/dL以上を維持するように点滴量を調整する。
治療の難点は、効果が出る速度が遅いこと。25~30回の点滴で効果が出てくることが多いので、待ちきれずに途中で中止してしまうケースもあるという。また点滴中のみビタミンC濃度を上げるが、終了後急速にゼロに近づくので、次の点滴までの期間が長いとがん細胞が増殖し易くなるので、頻度を多くすることが大事である。
この治療を控える必要がある人は、腎不全、G6PD異常症の方。腹水、胸水、むくみがある人は、要注意だ。この治療法を実施している病院は、現在全国で300ほどで、詳細は『MR21点滴療法研究会』(http://www.iv-therapy.jp/)を参照。
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