◎緑地に咲く百合花 ― 2009年07月12日
■若いときの肥満は膵臓癌リスクを高める ― 2009年07月12日
Nikkei Medical Online HOT NEWS 2009/07/08
膵臓癌の発症や生存期間にも影響大米Texas大学M. D. Anderson癌センターのDonghui Li氏らが大規模なケースコントロール研究結果をJAMA誌2009年6月24日号に報告したところによれば、14~39歳の間の過体重と20~49歳の間の肥満が膵臓癌リスク上昇と有意に関係していることが示され、若い時から肥満を防ぐことが膵臓癌の一次予防につながる可能性が示唆された。
膵臓癌リスク上昇と有意に関係していたのは、14~39歳の間の過体重と20~49歳の間の肥満で、糖尿病の有無に関わらず関係は有意だった。
過体重と膵臓癌の関係においてオッズ比が最高になったのは14~19歳で1.67、肥満では30~39歳の 2.58だった。最もオッズ比が高かったのは糖尿病なしグループで30~39歳の期間に肥満だった人々で 3.03になった。一方、60~79歳の期間のBMIと膵臓癌リスクの間には有意な関係は見られなかった。
14~59歳の間にBMI値が「5」上昇した場合の膵臓癌リスク上昇は男性で顕著だった。
またBMIと膵臓癌リスクの関係は、男性では14~69歳で有意であったのに対し、女性では 14~39歳のみ有意だった。 BMI値「5」上昇当たりの膵臓癌リスク上昇は、喫煙歴なしのグループに比べて、過去に喫煙歴があるグループで大きかった。
過体重または肥満が始まった年齢と膵臓癌リスクの関係では、生涯にわたって過体重を経験していない人を参照群とすると、14~29歳で過体重、20~39歳で肥満になることが、膵臓癌リスクの有意な上昇をもたらしていた。しかし、体重増加が40歳以降に起きた場合にはリスク上昇はなかった。
20~49歳で過体重または肥満だった人では、膵臓癌の発症が2~6年早かった。正常体重者の発症時年齢の中央値は64歳、過体重者は61歳、肥満者では59歳。中高齢期におけるBMI上昇よりも、早期成人期の過体重または肥満が、膵臓癌リスクの上昇と、より若い年齢での肥満が発症に関係することが明らかになった。
一方、中高年期の肥満や診断前の肥満は、膵臓癌患者の全生存期間の低下に関係していた。若い時に、BMI値が高かった人が、その後体重を減らせば膵臓癌リスクも低下するかどうかは明らかではないが、若い時から過体重、肥満を防ぐことが膵臓癌予防に有効であるといえそうだ。
原題: 「Body Mass Index and Risk, Age of Onset, and Survival in Patients With Pancreatic Cancer」
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