■低脂肪食に換えるだけでは糖尿病リスクは下がらない ― 2008年09月10日
Nikkei Medical Online HOT NEWS 2008/08/21
主要栄養素の摂取バランスよりも体重減少が重要
耐糖能異常と判定された人が、低脂肪食を実践すると同時に積極的に運動して体重を減らすと、糖尿病リスクが下がることは明らかになっており、そのため運動量に変化がなくても、低脂肪食に換えればエネルギー摂取量が低下し、体重が減少して、糖尿病リスクに好ましい影響が現れる可能性があったが、米国Fred HutchinsonがんセンターのLesley F. Tinker氏らが、Arch Intern Med誌2008年7月28日号に発表したところによれば、糖尿病の罹患率が急速に上昇する閉経女性を対象にした無作為化試験で、摂取熱量が同じでも、食物から摂取する脂肪を減らすだけの低脂肪食に換えるだけでは糖尿病リスクは低下しないことが示された。今回の無作為化比較試験は、米国内の40医療機関で1993~2005年に行われた。Women’s Health Initiative (WHI)に参加した女性のうち、50~79歳の閉経女性4万8835人の内、癌などの既往がなく、総熱量の32%以上を脂質から摂取していた女性を選らび、通常の食事(対照群、2万9294人、60.0%)または低脂肪食(介入群、1万9541人、40.0%)に割り付け、介入群に対しては、生活改善のためのグループセッションを実施した(初年度18回、その後は毎年4回)。摂取熱量を減らすことは求めず、体重減少の目標も定めなかった。総熱量に占める脂質の割合は20%を目標とし、1日に5皿以上の野菜または果物、1日に6皿以上の穀物の摂取を推奨した。
一方の対照群には、国が食生活についてまとめたガイドライン『Dietary Guidelines for Americans』を与えたが、食生活の変更は求めなかった。追跡期間は平均8.1年。閉経女性が低脂肪食を継続しても、糖尿病リスクは変化しなかったが、体重減少で調整すると差は有意でなくなったことより、体重減少が糖尿病予防に役割を果たすことを示唆する結果となった。
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