■認知症がなくても死期が近づくと知的技能が低下する ― 2008年09月21日
認知症がなくても死期が近づくと知的技能が低下する
死亡前に認知能力の衰退が加速することは過去の研究からもわかっていたが、今回スウェーデン、イエーテボリ Goteborg大学のValgeir Thorvaldsson氏らの研究グループが、イエーテボリ市民288人を対象に70歳から死亡するまで知的技能を追跡(被験者は平均84歳で死亡)し、30年にわたる研究期間で、それぞれの被験者について最大12回のメンタルヘルス(精神的健康)検査を実施すると共に、認知症発症の可能性について継続的に評価を行った結果を、医学誌「Neurology(神経学)」オンライン版に8月27日発表したところによれば、高齢者は認知症がなくても、早ければ死亡する15年前から重要な知的技能(mental skill)の衰えが加速するという。具体的には、言語能力、空間認識、知覚速度の衰退がみられるが、いずれも通常の老化プロセスとして生じるものではないという。この死亡前の「末期衰退期(terminal decline phase)」ともいえる状態は、初期の心疾患、身体面および精神面のエクササイズ不足、さらにはごく初期の認知症など、根底にあるいくつかの因子によって徐々に表れてくるものであると思われる。
今回の知見により、比較的健康な人にも一種の末期的衰退がみられること、認知症のない人でも認知能力に影響を及ぼす脳の変化が長期間にわたって生じることが明確に示されたという。
研究結果は、高齢者の知的技能の衰退が年齢や認知症とは無関係に始まることが判明。
言語能力の低下は、死亡する6年以上前に急激に加速し、
空間認識能力の低下は、約8年前から明確に表れ始めた。
対象を正しく素早く比較する能力である知覚速度の低下は最も早く、死亡の15年前から認められた。▼原文: Mental Skills Can Decline Years Before Dying
最近のコメント