■魚介類を食べるほど健康になる!? - 滋賀医大 ― 2014年03月19日
魚介類を食べるほど健康になる!? - 滋賀医大、24年間の追跡調査で解明
滋賀医大 社会医学講座の三浦克之教授(アジア疫学研究センター・センター長兼任、NIPPON DATA研究 研究代表者)や宮川尚子特任助手らの研究チームらが、欧州動脈硬化学会誌「Atherosclerosis」2月号に発表したところに依れば、厚生労働省研究班(指定研究)の「NIPPON DATA(ニッポンデータ)研究」の、国民栄養調査参加者を対象とした長期追跡研究NIPPON DATA80において、食事から摂取した「魚介類由来の脂肪酸」摂取が多い人ほど、長期間の循環器疾患死亡リスクが低いことが明らかになったという。
NIPPON DATA80は、1980年に実施され無作為抽出された日本全国300地区の一般住民が対象で、30歳以上の成人男女の内、脳卒中や心筋梗塞などの既往歴のある者などを除外した9190人(男性4028人・女性5162人・平均年齢50.0歳)で、1980年~2004年までの24年間にわたる追跡が行われた。
24年の追跡期間中、879人が循環器疾患(脳卒中または心臓病)で死亡。魚介類に多く含まれる「長鎖n-3系多価不飽和脂肪酸」である「エイコサペンタエン酸(EPA)」と「ドコサヘキサエン酸(DHA)脂肪酸」の合計摂取量を4群に分け、最も少ない群の摂取量は1日0.42g(さんま1/4尾程度に相当)、最も多い群で1日1.72g(さんま1尾弱に相当)だったという。
性別・年齢・食塩など他の栄養素摂取量などの交絡因子を調整した循環器疾患死亡リスクは、摂取量の最も少ない群を基準としたところ、最も多い群で20%低く、魚介類由来の脂肪酸摂取量が多いほど統計学的に有意に低くなった。1980年時点の年齢で30-59歳と60歳以上に分けて分析した結果、30-59歳の者において「魚介類由来脂肪酸」摂取量と循環器疾患死亡リスク、脳卒中死亡リスクとの関連がより強く認められたという。
今回の対象者である日本人では、最も摂取量の少ない群でも米国の平均摂取量の約2倍を摂取していたが、これより更に多い摂取で循環器疾患死亡リスクが低くなることが示された。尚、日本人を対象とした20年以上にわたる長期間の調査は、今回が初めて。また今回、初めて日本で「魚介類由来脂肪酸」摂取が多いほど脳卒中死亡リスクが低くなることが示されたとしている。 毎日さんま1尾程度の魚介類から脂肪酸を摂取する「和食」は、将来の脳卒中や心臓病を予防できる可能性を示したとしている。
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