■「コレステロール低いと危険」免疫細胞の働き悪く ― 2008年04月12日
YOMIURI ONLINE > 医療と介護 > ニュース 2008/03/29
富山大が17万人分析
富山大学の浜崎智仁教授(脂質栄養学)らが、一般市民の健康状態を追跡した5件の研究結果(計17万人)を詳しく分析し、28日発表したところによれば、総コレステロール値が低めの人は高めの人に比べて、死亡率が高くなるということが判ったという。 「コレステロールが高いと危険」という“健康常識”を覆す結果となる。血液100mL中の総コレステロール値が160以上~200mg未満を基準とすると、それより総コレステロール値が低い人の死亡率が男性で1.6倍、女性で1.4倍になることが判明。200mg以上の人では死亡率は変わらなかった。
研究チームによれば、別の研究でコレステロールのうち、動脈硬化を促して「悪玉」と呼ばれるLDLコレステロール値についても、低い人で死亡率が高い傾向だったという。 日本人は魚に含まれるドコサヘキサエン酸(DHA)の摂取が多いためコレステロールが高くても動脈硬化になりにくく、心筋梗塞の発生が抑えられる考えられ、細胞膜の材料となるコレステロールが少ないと、免疫細胞が活発に働かなく、がんや肺炎などが増す傾向があると考えられるという。
■インスリンの調整によりアンチエイジング ― 2008年04月12日
米ハーバード大学医学部ジョスリンJoslin糖尿病センター(ボストン)のT. Keith Blackwell博士らが、医学誌「Cell」の3月21日号に発表した研究によれば、血糖値の調整に重要な役割を果たすインスリンが、アンチエイジング(抗加齢)治療の土台となる可能性のあることを、線虫を用いた研究で明らかにしたという。今回の研究では、分子レベルの研究でよく用いられるCaenorhabditis elegans(セノラブディティス・エレガンス)という線虫の一種を用いて、インスリンレベルの変動による影響を調べた。この線虫は最先端の遺伝子研究に長年利用されているもので、2003年のスペースシャトル事故から生還したことでも知られる。
研究グループは、インスリンが増大するとSKN-1と呼ばれる遺伝子制御蛋白の活性が低下することを突き止め、インスリンレベルを下げることによってSKN-1のレベルを上げ、通常2週間の線虫の寿命を約1週間延ばすことに成功したという。この延長は、ヒトに換算すれば相当大きなものとなる。
インスリンは、健康なヒトの血糖値を調節すると共に、糖尿病患者のさまざまな障害に関連するホルモンとしてよく知られ、細胞によるエネルギー産生を調節するはたらきや、ブドウ糖の処理を促す作用、腫瘍の成長を抑える作用などがあるという。
▼原文: Tweaking Insulin Might Help Fight Aging
Studies in worms are shedding new light on the hormone's role in lifespan
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