■アスピリンで大腸がんの前駆病変ポリープの再発リスクが減少 ― 2014年03月31日
QLifePro > ニュース > 医療 2014/02/25
薬剤による大腸がん予防、臨床試験における国内初の成果独立行政法人国立がん研究センターと京都府立医科大学など全19施設の多施設共同研究グループが、2月13日に発表したところに依れば、解熱鎮痛薬や抗血小板薬として用いられる薬剤(アスピリン)による大腸がん予防につながる臨床試験を実施し、国内で初めて、その有効性を確認することに成功したという。
40%程度再発リスクが減少、非喫煙者では60%以上減少
これは第3次対がん総合戦略研究事業「がん化学予防剤の開発に関する基礎及び臨床研究」の研究グループによる研究成果で、その詳細は国際的な消化器病関連誌である「GUT」の1月31日付のオンライン版に掲載されている。研究グループは、大腸がんの前駆病変である大腸ポリープ(腺腫)を内視鏡的に摘除した患者311人を対象に、低用量アスピリン腸溶解錠(100mg/日)又はプラセボを2年間投与し、二重盲検無作為化比較試験を実施。その再発リスクを検証した結果、アスピリン投与群では、プラセボ群に比べ大腸ポリープの再発リスクが約40%減少したことを確認。この結果は欧米人における報告結果とほぼ同等かそれ以上の効果を示すものであり、研究グループでは、アスピリンは日本人の大腸がん再発も抑制できる可能性が高いとみている。
大腸がんの予防法としての確立に期待
またサブグループ解析により、アスピリンの有効性は、喫煙者では示されず、非喫煙者で増強され、60%以上再発リスクを減少することも明らかとなった。尚、今回の臨床試験を通じ、アスピリンの副作用として懸念される出血などの重大な副作用はみられなかった。大腸ガンの罹患率が比較的高い日本において、既に安全性の確立している廉価な既存薬の一つであるアスピリンにより、大腸ポリープの抑制効果が確認されたことは、新しいガン予防の方法として、医療経済面でも注目される成果である。
▼The preventive effects of low-dose enteric-coated aspirin tablets on the development of colorectal tumours in Asian patients: a randomised trial
http://gut.bmj.com/content/early/2014/
■リウマチ飲み薬承認へ 厚労省部会、症例報告が条件 ― 2013年03月24日
厚生労働省の薬事・食品衛生審議会の部会は、3月13日に関節リウマチの新飲み薬ゼルヤンツ(一般名トファシチニブ)の製造販売を、全ての患者の症例報告など条件として承認することを了承したという。治験では、発がんや感染症の短期的な副作用リスクがあることが分かっている。
現在、標準的な薬が効き難い人には高い治療効果のある注射薬を使っていたが、ゼルヤンツは、高い効果がある初めての飲み薬で、患者には使い易く、米国では2012年10月に承認されている。一方で、長期的には発がんのリスクが明らかになっていないうえ、服用が患者に委ねられる懸念もあり、日本リウマチ学会が厚生労働省や製造販売業者のファイザーに対し、慎重に対応するよう要望書を提出しており、部会は安全面から副作用が出たときに対応できる知識を持つ医師らに使用を限るよう求めた。
■生活習慣病の薬、市販に 初認可、医師会は反発 ― 2013年02月04日
生活習慣病の薬では初めて、効き目は強いのに病院の処方箋無しで買える「スイッチ薬」の販売が12月28日承認された。このスイッチ化を承認されたのは、持田製薬の高脂血症治療薬「エパデール」で、イワシから取るイコサペント酸(EPA)を高純度で含み、血液中の中性脂肪の値などを下げる。
スイッチ薬は、従来、水虫や胃もたれなど比較的軽い病気の薬が多かったが、厚労省は2002年、高血圧や糖尿病といった生活習慣病などにも広げる方針を決定。すぐ病院に行くのでなく、まずスイッチ薬を使う人が増えれば、医療費が抑制できるという思惑があったもので、安全面などを懸念する医師側は「まず診察を」と反発しているという。今後、新たなスイッチ薬が認められるかどうかは不透明。
■薬の副作用データ、日本語で検索 京大教授らが開発 ― 2012年02月01日
京都大の奥野恭史教授(薬学)らが、米食品医薬品局(FDA)が公開している薬の副作用報告を独自に整理、日本語で検索できるデータベースを開発した。生物学や化学、情報科学を組合せた手法で、データを独自に整理し、世界中の医薬品名とその主成分を厳密に関連づけたり、日本語に翻訳したりして、簡単に検索できるシステムを作り、薬の名前から副作用の一覧、患者がどうなったか、などが判るようにして、元の報告書の閲覧も出来るよう工夫したという。医師や薬剤師が、世界の最新の副作用情報を知ることが出来て、海外で先に発売された薬を使う時に、副作用を調べるのにも役立つと期待される。
薬の販売後に重い副作用が出ても、添付文書の改訂には時間が掛かるので、世界の最新情報を早く調べられれば、副作用の被害者を減らせると期待される。この「検索サービス」は、医療従事者や製薬会社を対象に、京都大学発ベンチャーの京都コンステラ・テクノロジーズ(http://www.k-ct.jp/)が有料で提供している。
■アルツハイマー型認知症、新薬続々 体に貼るタイプも ― 2011年08月08日
アルツハイマー型認知症の治療薬について、国内ではこれまでエーザイの「アリセプト」だけだったが、今年に入って新薬の発売が相次いでいて、小野薬品工業の「リバスタッチパッチ」は体に貼るタイプで、患者が指示通りに薬を使っているかどうかが確認し易く、介護者の負担軽減につながると期待され、共同開発したノバルティスファーマも同じ薬を「イクセロンパッチ」として売り出すという。第一三共の「メマリー」は飲み薬タイプで、「他の薬との併用」することで認知症の進行をさらに遅らせる効果をPRする。
武田薬品工業と共同販売契約したヤンセンファーマ(東京)は、3月に飲み薬「レミニール」を発売した。これら3種類の薬は、いずれも既に世界70カ国以上で販売されている実績がある。
製品名 販売会社 特徴 処方対象の症状 アリセプト エーザイ 口の中で溶ける錠剤やゼリー製剤も揃える 軽度・中等度・高度 メマリー 第一三共 他3製品と作用が違うので併用が可能 中等度・高度 レミニール ヤンセンファーマ 口の中で溶ける錠剤や液材も揃える。武田薬品が共同販売する。 軽度・中等度 リバスタッチパッチ(イクセロンパッチ) 小野薬品工業(ノバルティスファーマ) 貼り薬 軽度・中等度
■抗がん剤使用の5人死亡 厚労省が注意喚起 ― 2010年12月01日
抗がん剤の「イレッサ」と「タルセバ」を使った計5人の患者が肝不全や腎不全で死亡していたとして、厚生労働省は使用上の注意を改めるよう製薬会社に指示したという。
■セリ科のアギがインフルエンザ薬として有効 ― 2009年09月22日
台湾、高雄Kaohsiung医科大学のFang-Rong Chang氏、Yang-Chang Wu氏らの研究グループが、米国化学会(ACS)発行の「Journal of Natural Products(自然産物)」オンライン版に8月19日に(印刷版は9月25日号)発表したところによれば、イラン、アフガニスタン及び中国大陸に生育し、樹液に強い悪臭があることから “Dung of the Devil(悪魔の糞)”とも呼ばれるセリ科のアギ(中国語名:阿魏、英語名:assafoetidaアサフェティダ、学名:Ferula assa-foetida)には、新型(H1N1豚)インフルエンザのウイルスを死滅させる有効な成分が含まれており、この植物の抽出物に含まれる化学物質を特定したという。1918年、世界で数千万人が死亡したとされるスペイン風邪の大流行時に、中国では抗ウイルス薬としてこの植物が用いられたという。しかし、米国化学学会(ACS)によれば、これまでアギの抗ウイルス特性を裏付ける研究は実施されていなかった。
▼原文: Chinese 'Devil Dung' Plant Could Be a Swine Flu Fighter
■オレンジ、リンゴ果汁も薬剤の効果に影響 ― 2008年09月14日
グレープフルーツ果汁が薬剤の作用に影響を及ぼすことは以前から知られているが、オレンジ、リンゴなどの果汁も薬剤の吸収を妨げる可能性のあることが、カナダの研究で明らかにされ、米フィラデルフィアで開催された米国化学学会(ACS)で発表された。ウェスタンオンタリオ大学(オンタリオ州ロンドン)教授のDavid Bailey氏らは約20年前に、グレープフルーツ果汁が高血圧治療に用いられるCa拮抗薬フェロジピン(商品名:スプレンジール)の血中濃度を増大させることを初めて報告した。
その後、ほかの研究グループにより、グレープフルーツ果汁との相互作用を示す薬剤が次々と明らかにされたことより、高コレステロール、高血圧、心拍異常などのための特定の薬剤を使用する場合は、グレープフルーツ果汁の摂取を避けるよう警告しているという。
今回の研究では、グレープフルーツのほか、オレンジやリンゴの果汁が一部の薬剤の吸収率を「低下させる」可能性があることが判明した。抗癌薬エトポシド(ベプシドほか)、高血圧治療および心疾患予防に用いられるアテノロール(テノーミン)およびtalinolol(Cordanum)などの一部のβ遮断薬、臓器移植の拒否反応の抑制に用いるシクロスポリン(サンディミュンほか)や、シプロフロキサシン(シプロキサシンほか)、レボフロキサシン(クラビット)、イトラコナゾール(イトリゾールほか)など一部の抗生物質がこれにあたる。
Bailey氏は更に、抗アレルギー薬フェキソフェナジン(アレグラ)をグレープフルーツ果汁と共に摂取すると、水に比べて薬剤の吸収量が半分になることを突き止めた。 いずれのケースも、果汁に含まれる物質が薬剤の吸収に影響を及ぼしており、薬剤は水で飲むのが最も安全だ。
Bailey氏によると、水は一口よりコップ1杯分を飲む方が、錠剤が溶け易くて良いという。また、冷たい水の方が早く胃を通過し、薬剤が小腸から血液中に早く送られので温水よりも冷水で飲むことを勧めている。▼原文: More Juices Found to Affect Drugs' Effectiveness: Study
■抗がん剤使ってリウマチ治療 ― 2008年02月06日
YOMIURI ONLINE > 医療と介護 > ニュース 2008/01/29
東京医科歯科大学の上阪等准教授(膠原病・リウマチ内科)らの研究チームは、米免疫学会誌に28日に発表した ところによれば、抗がん剤で関節リウマチを治療する方法を開発したという。一部の抗がん剤に滑膜細胞の増殖に重要な役割を果たしている酵素の働きを妨げる働きがあり、マウスの実験で有効性を確認。10年で臨床試験実施に漕ぎ着けたもので、投与量はがんの場合の1/3で済み、副作用も少ないという。
実験で用いた抗がん剤は、がんにはあまり効果がなく、現在は、治療にはほとんど使われていないという。
■子どもの咳止め、蜂蜜が効果 米大学チーム ― 2007年12月15日
米ペンシルベニア州立大の研究チームが4日、医学誌に発表したところによれば、風邪を引いた2~18歳の子ども100人以上を対象に、ソバ蜂蜜、咳止め薬、ダミーの服用剤の3種類を就寝前に服用してもらいその効果を比較した調査を行ったところ、蜂蜜を飲用後、咳の頻度が減ったとの回答が最も多かったことより、子どもの咳止めには市販薬より、蜂蜜を飲ませる民間療法の方が安全で効果的という調査結果を発表した。蜂蜜に含有する抗酸化物質が咳止めにつながったと分析されるが、ただ、1歳未満の乳児にはボツリヌス中毒の恐れがあるため、蜂蜜を控えた方がいいという。
最近のコメント