■たった50ccの血液でがんを撃退 ― 2009年05月23日

▼体への負担少ない「NK細胞免疫療法」がん細胞は、健康な人でも毎日3000個~5000個発生しているにも関わらず、がんを発症しないのは、人間が持っている免疫力ががん細胞を殺傷するためで、その重要な働きを担っているのが、免疫細胞である。
例えば、異物を探し出して食べるマクロファージ、連携プレーで異物を攻撃するT細胞やB細胞。その中で、がん細胞に対して強い攻撃力を持つのがNK細胞(ナチュラルキラー細胞)である。▼がんの天敵の数を1000倍に増やす「NK細胞免疫療法」
このNK細胞を増やし活性化して、がんから体を守るのが「NK細胞免疫療法」である。
具体的には、患者の血液を50ccほど採取し、白血球を分離する。さらにリンパ球だけを取り出して、約2週間かけて培養し、NK細胞の数を約1000倍に増やし、生理食塩水と共に点滴で患者に戻す。免疫細胞は自分のものなので、副作用の心配はほとんどなく、治療としては非常に楽な点がメリットである。問題は保険適用できないので、1回投与で32万円かかり、1クール6回投与だと約170万円と高価な点。
病状がかなり進むと、NK細胞を特異的に増やそうとしても増えず、活性も高まらないケースがあり、NK細胞と一緒に他の免疫細胞であるT細胞も増やす「NK-T療法」という治療法もある。
▼東洋医学的なアプローチで免疫力を高める「自律神経免疫療法」
免疫細胞に直接手を下さずに、東洋医学的なアプローチで間接的に免疫力を活性化させる「自律神経免疫療法」として、鍼を刺す鍼療法の一種「刺絡療法」や、爪の付け根を強くもむ「爪もみ療法」などがある。 この療法は、副交感神経を優位にすることで、免疫力を高めるもので、免疫細胞療法よりもゆっくりとした効果になる。治療費は比較的安く、5回で2万5000円程度。免疫細胞療法との組み合わせとしてのオプションの療法といえる。
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