■ヤクルトなど、日本人2型糖尿病患者の腸内フローラのバランスの乱れを確認 ― 2014年08月14日
ヤクルトなど、日本人2型糖尿病患者の腸内フローラのバランスの乱れを確認
ヤクルト中央研究所ならびに順天堂大学大学院医学研究科・代謝内分泌内科学の佐藤淳子 医師、金澤昭雄 准教授、綿田裕孝 教授、順天堂大学大学院プロバイオティクス研究講座の山城雄一郎 特任教授らが、米国学術誌「Diabetes Care」オンライン版に発表したところに依れば、日本人2型糖尿病患者では腸内フローラのバランスが乱れていること、並びに腸内細菌が血流中へ移行しやすいという。
ヒトの腸内には100兆個を超すさまざまな微生物種が複雑な生態系(腸内フローラ)を形成しており、その状況などがヒトの健康に影響を与えることが近年の研究から分かってきた。また日本における糖尿病患者の約95%を占めると言われる2型糖尿病でも腸内細菌の関与が指摘されていたが、その関係性はよく分かっていなかった。
今回の研究は、日本人の2型糖尿病患者50名と2型糖尿病に罹患していない被験者50名の腸内フローラの比較を実施したもので、腸内細菌の血流中への移行についての解析を、ヤクルトが開発した「腸内フローラ自動解析システム(Yakult Intestinal Flora-Scan:YIF-SCAN)」を用いて実施したものである。
その結果、腸内細菌の総数に大きな違いはなかったが、腸内フローラを構成する腸内細菌の割合が異なっていた。また、血液中に含まれる生きた腸内細菌を解析したところ、対照者では50名中2名(検出率4%)の血液中に腸内細菌が検出されたのに対し、2型糖尿病患者では50名中14名(検出率28%)の血液中に腸内細菌が検出された。
これらの結果から、日本人2型糖尿病患者では、腸内フローラが乱れていること、更に腸内細菌が腸内から血流中へ移行しやすいことが示された。
今後の研究で、腸内フローラの乱れや腸内から血流中に移行した腸内細菌が2型糖尿病に伴う炎症に関与することが示されれば、腸内環境の改善により2型糖尿病に伴う炎症を抑制することが可能になるかもしれない。
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