■『あさイチ』でも紹介 大便を移植する治療法に注目集まる ― 2014年05月14日

「人の糞便そのものを移植するという治療法も注目されています」
アナウンサーのこのひと言に、スタジオ全体にどよめきが起こった。3月17日放送の『あさイチ』(NHK)で、さまざまな菌を使った最新治療を特集したときのことだ。 腸内細菌を用いた研究が目覚ましく進化しているという。
『あさイチ』で糞便移植を紹介した麻布大学獣医学部教授で乳酸菌ゲノム科学、微生物学が専門の森田英利さんに話を聞いたという記事。
人間の腸内には、1000兆個もの多種多様な菌がいて、顕微鏡で覗くと花畑のように見えることから“腸内フローラ”と呼ばれていて、この腸内フローラのバランスが食生活やストレスなどによって崩れると、潰瘍性大腸炎やアレルギーやぜんそく・肥満・糖尿病などさまざまな病気を誘発することは既に知られている。それならば、腸内細菌のバランスを整えたら、これらの治療が進むのではないかと研究が始まった。
2006年に腸内フローラのバランスによって肥満になるという論文が発表されて、腸内細菌の研究は、劇的な進歩を遂げている。
冒頭の糞便まるごと移植する治療法も、その一つだという。
2013年、オランダのアムステルダム大学を中心とする医療チームの臨床実験の論文が話題の発端で、病気の人の腸内細菌に抗生剤治療を施した後、直ぐに健常な人の便を食塩水に溶き、鼻からチューブで注入して、十二指腸まで落とし込むというもの。
腸内フローラをまるごと入れ替えるという方法で、抗生剤治療で再発する細菌性腸炎の患者30人中、80%が1回の糞便の注入によって治ったと結果が出ている。口から直接、注入すると反射で嘔吐してしまいますが、鼻からの注入はチューブを使うので匂いは気にならない。
とはいえ、他人の便を鼻から入れるのは、「それは嫌だな」と抵抗がある人も多いのではないか。 最近の傾向として、清潔であることや抗菌に過敏になりすぎ、腸内に必要な菌まで取り込めずにいることで、健康を害していることもあるという。
腸内細菌は、自然に湧いてくるものではなく、口から入るもの。赤ちゃんが指を舐めたりするのも人間にとって必要な菌を腸管に取り込む作業だとか。
(※女性セブン2014年4月17日号)
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