■がん~ 世界の専門医が推奨する予防10カ条 ― 2009年06月22日
健康増進クリニック院長の水上治(みずかみ・おさむ)氏 へのインタビュー記事▼がんに関する論文や文献が満載
米国の「世界がん研究基金」から2007年11月に出版された、がんに関する4400の文献論文集「食べもの、栄養、運動とがん予防」は、世界の権威者の論文が掲載されている素晴らしい本で、膨大なデータが収められており、非常に科学的だ。この文献はネットで閲覧することもできる。
Food,Nutrition,Physical Activity,and the Prevention of Cancer
http://www.dietandcancerreport.org/上記の文献論文集「食べもの、栄養、運動とがん予防」の中で提言されている「がん予防10か条」の中には、もはや喫煙は含まれていない。喫煙はあらゆるがんの発生率を高めることはもはや常識であり、あえて10か条に明示するまでもないという考えのようだ。
▼がんは、酸素を嫌う
・第1条:「肥満」について。
肥満指数BMIの数値を21~23にすること。これが30以上になるとがん発生リスクは5割増しにもなるという。「がん細胞は、ブドウ糖を大量に消費し、脂肪はプロモーターとなるので、肥満という栄養過多の環境は、がん細胞が増えやすい環境なのだ」但し、痩せすぎも免疫低下を招く。
・第2条:「運動」について。
ウォーキングなど軽度の運動を毎日30分ほど実践することを提唱している。その後、60分程度のジョギングや水泳、テニスなどのやや激しいものへと移行することを推奨している。特に乳がんと大腸がんに関しては運動の重要性が高く、ほとんど運動しない人に比較してリスクが半分になるという。
▼肉は、300g/週 以下に制限がん細胞は酸素を嫌う嫌気性の細胞だから、血流が良くて酸素が多いほど発症が抑制されます。軽度の運動は免疫力を高める。たばこがよくない理由のひとつは、酸素供給を阻害する点にある。
・第3条:「高エネルギーの飲食物」について。
砂糖入り飲料や脂肪などの高エネルギーの食べ物の摂取を制限している。和食主体の食事が望ましい。
・第4条:「植物性食品」について。
600g/日の野菜と果物を摂取することを促している。また穀類に関しては、できるだけ精白されていないものを推奨している。 「精白すると表皮部分に含まれているビタミンやミネラル、そして食物繊維が激減する。五分づき米にするとか、五穀米にするなど工夫が必要で、できるだけ食物繊維を摂ることを意識しよう」
・第5条:「動物性食品」について。
赤肉(牛・豚・羊)を制限し、加工肉(ハム、ベーコン、サラミ、燻製肉、熟成肉、塩蔵肉)を避けることを促している。具体的には、赤肉は300g/週以下が目標。 「肉食が多いと、腸内環境が悪化し、悪玉菌が増えやすくなります。300g/週以下というのは、ステーキならば週に1 回が上限だし、毎日の献立に肉が入る場合は、ほんの少しの量にすべき。和食主体の献立であればクリアする筈」
できるだけ理想的な生活習慣に近づけることを心がけたい。毎日運動をし、和食主体の食事を心がけていれば、自ずと理想的な環境を作ることができる。
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