■抗酸化物質は癌の治療効果を低下させる ― 2008年06月19日

米国海軍医療センター(サンディエゴ)のBrian Lawenda博士らが、米医学誌「Journal of the National Cancer Institute」オンライン版に5月27日(印刷版は6月4日号)発表したところによれば、過去の研究のレビュー(再検討)によって、放射線療法あるいは化学療法を受ける癌患者は、抗酸化物質を多く含むサプリメント(栄養補助食品)の摂取を避けた方がよいという。多くの癌患者は、抗酸化物質により治療効果が高まると信じてサプリメントや緑茶を摂っており、抗酸化物質は細胞を保護するため健康に良いと一般には考えられているが、研究者らはこのような世間一般の通念に疑問をもち、治療中の癌患者には抗酸化物質が害になるのではないかと考えてきた。
今回のレビューでは、抗酸化物質と癌治療に関する研究について検討。放射線療法と抗酸化物質に関する無作為化対照試験(治療を比較するのに最も優れた試験方法とされる)は3件あり、そのうち1件は抗酸化物質により死亡率が増大することを示していた。
抗酸化物質が正常細胞と同じように癌細胞も保護してしまい、癌細胞を死滅させる治療の妨げになる可能性があるため。マルチビタミンは問題のない場合もあるが、緑茶やビタミンAあるいはビタミンEのサプリメントは害をもたらす可能性があるという。抗酸化サプリメントによって放射線療法や化学療法の効果が低下するばかりか、治療による毒性が増大する可能性もあり、治療中は高用量のサプリメントの摂取を避けたほうが良いようだ。
▼原文: Cancer Patients Should Steer Clear of Antioxidants
Research review suggests they may help cancer cells resist chemo, radiation
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