■高齢者はメタボよりも高血圧と空腹時高血糖に注意すべき ― 2008年06月07日

Nikkei Medical Online HOT NEWS 2008/05/27
▼収縮期血圧150mmHg以上、空腹時血糖110mg/dL以上で有意なリスク上昇米国で用いられているNCEP-ATP III基準では、5つの危険因子(腹部肥満、トリグリセリド高値、HDL-c低値、高血圧、耐糖能異常)を指標とし、3項目以上該当すればメタボと判定される。IDF(国際糖尿病連盟)とWHOもほぼ同様の基準を使用している。
米国Brigham and Women’s HospitalのDariush Mozaffarian氏らが、米国で1989~1993年に行われた、65歳以上の高齢者の心血管リスクを調べた集団ベースの多施設試験Cardiovascular Health Studyの被験者で、心血管疾患(CVD)の既往がなかった4258人を、2004年まで追跡しCVDと非CVDによる死亡を調べた結果、メタボリックシンドローム(以下、メタボと略)自体よりも、メタボの診断基準の構成要素に含まれる空腹時高血糖と高血圧が、高齢者の死亡の予測因子として有効であることを、Arch Intern Med誌2008年5月12日号に発表した。
メタボ群の死亡率は、非メタボ群に比べ22%高かった(相対リスク1.22)
死亡リスク上昇は、空腹時高血糖(110mg/dL以上または治療されている糖尿病患者)があるメタボ患者(相対リスク1.41、1.27-1.57)、高血圧があるメタボ患者(1.26、1.15-1.39)で高かった。
男女差について
空腹時高血糖がないメタボ患者では相対リスク0.97(0.85-1.11)、高血圧がないメタボ患者では0.92(0.71-1.19)で、リスク上昇は見られなかった。メタボ患者の死亡の相対リスクは、男性の方が女性よりも高く(P=0.03)、男女とも空腹時高血糖または高血圧のあるメタボ患者でリスク上昇が見られた。年齢、人種などとの関係は見られなかった。
空腹時高血糖と高血圧の両方を持つ集団の死亡リスクは、これらを両方とも持たないグループに比べ82%高い(相対リスク1.82、1.58-2.09)。
メタボは、死亡リスクを22%上昇させる(1000人-年当たり死亡が9.2増加)。しかしメタボは、高血圧、空腹時高血糖がない高齢者の死亡リスクを予測することができないなど、総死亡とCVD死亡、非CVD死亡の予測における有用性は限られていることが明らかになったという。
■心筋梗塞防止、やっぱり魚や野菜 阪大などが国内調査 ― 2008年06月07日

大阪大の磯博康教授(公衆衛生学)や国立がんセンターの研究チームが、岩手、秋田、長野、沖縄の4県で90~95年に実施された生活習慣のアンケートをもとに、40~59歳の男女約4万人の葉酸、ビタミンB6、ビタミンB12の1日当たりの摂取量を推計し、それぞれ摂取量別に5グループに分け、11年間にわたって追跡した結果、それぞれ摂取量が多いほど心臓病の危険性が減っていく傾向が確認されたという。摂取量最少のグループを基準にすると、ビタミンB6では最も摂取量の多いグループの危険性は52%、ビタミンB12でも53%に減っていた。
葉酸は野菜や緑茶など、ビタミンB6は魚やレバー、豆類など、ビタミンB12は魚などに多く含まれており、日本人は一般に、葉酸やビタミンB12に比べ、ビタミンB6の摂取量が少ないので、ビタミンB6を多く含む食品を積極的に食べることが予防につながると分析している。
最近のコメント