■乳酸菌のよさ、期待と誤解/メーカー宣伝で思い込み ― 2007年08月19日
----asahi.com Be be Report 2007/08/04
花粉症予防などの効果も立証され、健康に良いといわれている乳酸菌製品。 「植物性がいい?」「生きていないとだめ?」等々、「生きて腸に届く」といったメーカーの宣伝文句が影響しているらしいが、乳酸菌をめぐり、誤解されがちなことは何か又色々な製品の中より何を選んだらいいのか、この種の問題に関するレポート記事。■乳酸菌に、植物性も動物性もない。
ラブレ菌は「ラクトバチルスブレビス」という乳酸菌で京漬物から発見され、免疫活性効果が証明されて、漬物を食べてきた日本人に合った、新コンセプトの菌だといわれるが、腸内細菌の権威、光岡知足・東大名誉教授によれば、「乳酸菌に植物性も動物性もない。日本の広告にだけ通用する言葉だ」と、断ずる。
■「生きて腸に届く」と聞くと、「死んだ菌では効果がないだろう」と思いがち。これも誤解。理化学研究所バイオリソースセンター室長の辨野義己・日本微生物資源学会長も、「ラブレ菌は漬物だけでなく、乳やチーズ、動物の腸管にもいる。そもそも、由来が植物に限定される菌などない」と語る。 どうやら、植物由来だから良いと思いこむのは早計のよう。
ちなみに、カルピスは風味を長持ちさせるため、乳酸菌を殺菌して出荷しているし、腸内細菌の権威、光岡知足・東大名誉教授は、殺菌発酵乳をマウスに投与し続けると、平均寿命が長くなることや、腹水がん細胞を移植したマウスに殺菌発酵乳を与えても、がんの増殖を抑えることを67~82年の実験で証明した。
■いろんな製品を試し、効果を実感できたものを食べ続けること光岡知足・東大名誉教授によれば、「たとえ腸に届く前に胃酸で死んでも、その菌体成分が小腸の免疫機能を活性化する。花粉症などのアレルギーや、風邪を予防する効果も報告されている。死菌でも効果があることをメーカーは言いたがらないようだ。」という。
しかし、乳酸菌が生きたまま腸に届くことに意味がないわけではなく、生きた乳酸菌は、大腸内の悪玉菌を減らし、善玉菌を増やすが、生きて届いた乳酸菌は腸内にそのまま住みつかないから、毎日取り続ける必要がある。
また、加齢と共に、腸内では善玉菌が減り、ウェルシュ菌などの悪玉菌が増えるので、高齢になるほど、生きた乳酸菌を摂取して腸内環境を整える必要が増すが、腸内菌叢は、各人により異なるので、どんな乳酸菌が合うかは人によって違ってくる。ヨーグルトなども製品によって使っている菌が違うので、「いろんな製品を試してみて、効果を実感できたものを食べ続けること」と、光岡さんは勧める。 何が自分の体に合うかは、自分で便通を確認するのが一番。
腸内で善玉菌が優勢だと、それらが乳糖を分解して作る酸が腸管を刺激し、蠕動運動を促すとともに、腸内を酸性にする。すると酸に弱い悪玉菌は増えない。反対に便秘がちになると腸内の腐敗が進み、アルカリ性に傾き善玉菌が減り、悪玉菌が増える。
便の色は、胆汁色素がつけるが、これが腸内の状態を教えてくれる。腸内が酸性だと黄色っぽくなるが、アルカリになるほど黒っぽくなる。乳酸菌製品を取り、いい便が出るようになれば、その乳酸菌は体に合っているといえる。
ヨーグルトは、栄養的に優れた食品だが、ビタミンCと食物繊維が足りない。体に良いからといって、ヨーグルトばかり食べていても駄目。乳酸菌の健康効果を上げるには、食物繊維の豊富な野菜などを意識して取り、バランスのとれた食生活を送ることが前提。
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