■膵癌の早期診断を可能にする新検査法 ― 2007年09月01日
米ノースウェスタン大学(イリノイ州エバンストン)のVadim Backman氏らが、医学誌「Clinical Cancer Research」8月1日号に発表したところによれば、内視鏡生検により採取した十二指腸の細胞を、光散乱を用いて検査すると、膵癌がある場合とない場合では、違った散乱効果を示すことより、早期の膵癌を安全かつ正確に検知できる可能性を示した。
■先天障害リスク下げる「葉酸」、進まぬ摂取 ― 2007年09月01日
横浜市立大市民総合医療センターの高橋恒男教授(産科)らが、05年9月~06年1月、妊婦健診で同センターを訪れた妊娠24~26週の女性198人を対象にアンケート調査し、148人(平均年齢31.4歳)から回答を得た調査結果によれば、先天障害の発症リスクを低下させる効果があるとされる、ビタミンB類の一つ「葉酸」について、妊娠前から積極的に摂取していた妊婦はわずか1割台にとどまることが分かった。厚生労働省は、2000年、0.4mg以上/日の摂取を推奨したが、同省の呼びかけが浸透していない実態が浮き彫りになった。
■アルツハイマー病の原因蛋白が緑内障にも関与 ― 2007年09月01日
英ロンドン大学(UCL)のM. Francesta Cordeiro博士らが、米国科学アカデミー発行の「Proceedings of the National Academy of Science(PNAS)」オンライン版に8月7日に発表したところによれば、ラットを使った実験より、アルツハイマー病患者の脳に老人斑(プラーク)を形成するアミロイド-β蛋白が、緑内障での網膜細胞死の原因となる可能性があるという。この知見は、緑内障治療について眼科医の間で最近浮上している疑問を解く鍵となる可能性もある。数年前まで、緑内障は眼圧の異常な上昇により網膜細胞死が起こるものであるとされ、現在も主に眼圧を下げる治療が行われているが、実は緑内障患者の半数以上で眼圧は正常に近いことがわかってきている。
米国眼科学会(AAO)は現在、眼圧上昇を緑内障の原因であるとする記述を削除し、単に主な危険因子であるとしている。
■肥満の一部はウイルスが原因? ― 2007年09月01日
米ルイジアナ州立大のグループがまとめ、ボストンで開かれた米化学会で20日発表したところによれば、美容のために行われる脂肪吸引で得られた人間の脂肪組織から、さまざまな細胞に変化する能力を持つ幹細胞を抽出し、風邪や結膜炎の原因となるウイルスの仲間アデノウイルス36を加えた結果、ウイルスを加えられた幹細胞の半分以上が脂肪細胞に変わったが、加えられなかった幹細胞で同様の変化を示したのはわずかだったことより、肥満の一部はウイルス感染によって起きるらしいという。米ウィスコンシン大学の研究チームは00年、このウイルスに感染させたニワトリやハツカネズミが、感染させなかったものより脂肪を2倍多く蓄積した、という論文を発表している。
■若い時やせていた男性、10kg太ると心筋梗塞発症率2倍 ― 2007年09月01日
厚生労働省研究班(主任研究者=津金昌一郎・国立がんセンター予防研究部長)の全国40~69歳の男女約9万人を対象に、体重を身長の2乗で割った体格指数(BMI)と虚血性心疾患との関連を10年間追跡調査した大規模調査した結果、20歳のころに痩せていた男性が10kg以上太ると、心筋梗塞などの虚血性心疾患の発症率は、体重の変化が5kg以内だった人に比べ、約2倍になることが判ったという。また、BMI 30以上の肥満の男性は、BMIが標準(23~25未満)のグループに比べて約1.8倍、虚血性心疾患を発症しや易いことも分かった。
■案外知られていない、緑茶の力 ― 2007年09月01日
毎日新聞・ 暮らし ・ 健康 2007/08/25
7月18日(水)有楽町朝日ホールにおいて、「緑茶と健康フォーラム」と題した講演会が開かれた。
吉川敏一・京都府立医科大学大学院教授、池田郁男・東北大学大学院教授、片岡洋祐・大阪市立大学大学院講師らが講演した内容の緑茶のさまざまな働きのリポート記事。▼老化防止に効果的
老化要因に共通しているのが、活性酸素やフリーラジカルによる酸化。 渋み成分のカテキン類の抗酸化作用は、他の食べ物に比べて格段に高く、半発酵のウーロン茶や完全発酵の紅茶に比べて、緑茶の抗酸化作用はずば抜けて高いという。
▼渋みのカテキンでメタボ対策、うまみのテアニンで脳の保護作用ヘビースモーカーを対象に、尿中に出てくるDNAの損傷程度が調べられた研究事例では、緑茶を多く飲んでいる人は、紅茶や水を飲んでいる人に比べ、その損傷程度が少ないという。
最近、大きな健康問題となっているメタボリックシンドローム対策でも、緑茶のカテキン類が注目される。
▼緑茶の研事例
カテキンの中でも、生理作用が強いのはガレート型カテキン。池田教授によれば、このガレート型カテキンをネズミに飲ませると、コレステロールの吸収を抑えて、血液中の悪玉コレステロールを下げるという。緑茶飲料を飲むと、中性脂肪の上昇が抑えられるというヒトでの試験報告もある。池田教授らが行ったネズミの実験では、カテキン飲料が内臓脂肪を低下させることも分かった。このようなカテキンの効果は、加熱殺菌されたペットボトルや缶飲料でも同じようにある。
認知症を防ぐ脳の老化に対して、片岡講師は「緑茶の脳保護作用」について興味深い事例を話した。
緑茶のうまみ成分のテアニンには、脳神経細胞の分裂を活性化させる働きがあるという。
片岡講師らは、医療法人順風会・天山病院(松山市)の協力を得て、認知症と診断された人を含む64~99歳(平均85歳)の47人を対象にした15カ月間の追跡した実験で、テアニンの豊富な緑茶粉末(緑茶)には脳の働きをよくする効果が期待でることが判ったという。これまでの研究報告によると、緑茶には次のような働きがある。
- アレルギー性鼻炎などの症状を抑える抗アレルギー作用
- 食後の血糖値の上昇を抑える血糖降下作用
- お茶をたくさん飲む人ほど脳梗塞の発症率が低いという疫学調査などから、脳梗塞などの予防効果
- 抗菌作用から、口臭や虫歯予防
- 抗ウイルス作用から、お茶のうがいなど風邪予防--などがある。
米国FDA(食品医薬品局)が高純度の茶カテキンを含む塗り薬を皮膚病の薬として認可している。
■骨密度の低下抑制に、リコピン ― 2007年09月01日
毎日新聞・ 暮らし ・ 健康 2007/08/25
国立健康・栄養研究所(東京都)とカゴメ総合研究所(栃木県)が、今年7月に開かれた日本骨代謝学会で発表したところによれば、マウスを使った実験で、トマトに豊富に含まれる色素の一種で抗酸化作用のあるリコピンが骨密度の低下を抑制するという。遺伝的に老化が進みやすいマウス(SAMP系統)を対象に、(1)0.05%のリコピンを混ぜたえさ(2)0.25%のリコピンのえさ(3)リコピンを与えないえさ、の3群に分け、8週間飼育後、大腿骨と脛骨の密度をX線で撮影して比べ、その結果、リコピンを与えないマウスでは骨の密度が低下したのに対し、リコピンを与えたマウスでは骨の密度の低下が抑えられたという。
▼カゴメ > 研究成果サマリー
http://www.kagome.co.jp/research/summary/index.html
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