■胆汁酸の排出で肥満や糖尿病が改善 ― 2012年09月17日
胆汁酸の排出で肥満や糖尿病が改善
慶應義塾大学大学院の渡辺光博教授とスイスのローザンヌ工科大学の研究チームが、英科学誌「サイエンティフィック・リポーツ(Scientific Reports)」と米科学誌「プロス・ワン(PLos ONE)」に発表した研究に依れば、肝臓から腸に分泌される「胆汁酸」の体外排出を促し、高コレステロール血症治療薬として使われている「胆汁酸吸着レジン」が肥満や2型糖尿病などを改善するメカニズムを解明したという。
日本古来の食物繊維を多く含むモズクやコンニャク等にも胆汁酸吸着作用があることから、「これらにもメタボリック症候群発症の予防効果があると考えられる」という。
肝臓でコレステロールから合成される胆汁酸は、腸管内での脂質の消化吸収を助けるが、長く腸内に残ると機能が低下し、新しい胆汁酸の合成も抑えられてしまうため、腸管内で古い胆汁酸をレジン(樹脂)に吸着させて、便と一緒に体外に排出させると、新たな胆汁酸の合成が促進され、血中のコレステロール値が低下し、脂肪肝の抑制にもつながる。
こうした効果を持つ「胆汁酸吸着レジン」は、2008年に米国でインスリンの分泌減少などによって起きる2型糖尿病の治療薬として適応が追加されたが、詳しい作用のメカニズムは明らかではなかった。
今回のマウスを使った実験では、胆汁酸吸着レジンによって新しい胆汁酸の合成を促すと、エネルギー代謝が高まって脂肪燃焼や血糖値低下が進み、糖尿病も改善した。さらにインスリンの分泌促進に関係するホルモンも増えることが分かった。
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