■女性ホルモンのエストロゲンに記憶改善効果 ― 2009年05月09日

毎日新聞 ライフスタイル > 健康 > アーカイブ 2009/04/27
女性ホルモンの一つ、エストロゲンについては、以前から研究者の間でも記憶改善効果が指摘されていたが、理研脳科学総合研究センター(利根川進センター長)から「記憶改善にも効果あり」とする研究結果が発表された。エストロゲンの働きとしては、下記のものなどが知られている。
(1)血管を広げて血流を促進させる。
(2)コラーゲンの合成を進め、柔軟な皮膚組織やつやのあるみずみずしい肌を保つ。
(3)悪玉コレステロールを退治して、善玉コレステロールを増やす。
(4)多量の投与は、男性の場合、体毛が薄くなり、乳腺が発達するなど女性化の問題がある。
(5)多量の投与は、女性でも7~8割に性器出血が見られる。
(6)子宮がん予防のために併用する黄体ホルモンによって、「うつ」になる確率が高くなる。また、エストロゲンの記憶改善効果については、「閉経後に1年以上に渡りエストロゲンを服用した女性は、80歳を過ぎてもアルツハイマーになりにくい」「息子の顔はわかるが、夫の顔がわからなかった女性が、エストロゲンを服用して数週間ほどで夫の名前を呼んだり、化粧をして買い物にも行くようになった」などの報告例がある。
今回の発表によれば、神経伝達物質のアセチルコリン受容体遺伝子を持たないマウスを観察したところ、脳の血液循環が低下すると、脳梗塞などが起きていなくても、脳細胞の膨張などが引き起こされ、学習能力が低下する傾向がオスのマウスにのみ見られた。研究班は性差に注目し、メスの卵巣から放出されるエストロゲンを調べ、アセチルコリンと同様の脳血管拡張効果を持つことを突き止めた。
脳循環障害のあるオスに、エストロゲンを投与したところ、脳細胞の膨張などが回復し、学習能力が改善していることが判ったという。
最近のコメント