■禁煙しても肺癌死の過剰リスクは30年続く ― 2008年06月01日

Nikkei Medical Online HOT NEWS 2008/05/23
米国Harvard大学のStacey A. Kenfield氏らが、米国看護師健康調査(NHS)に参加した女性を1980年~2004年まで追跡が行われた104,519人の女性を対象に、喫煙と禁煙が総死亡と死因別死亡にもたらす影響と、どの位の期間、禁煙を続ければ死亡リスクが下がるのかを調べ結果を、JAMA誌2008年5月7日号に発表したところによれば、喫煙者の総死亡リスクは非喫煙者の3.26倍であり、特に1日に35本以上喫煙する女性の肺癌死亡リスクは非喫煙者の40倍に上ることが明らかになった。また、喫煙者が禁煙しても、肺癌死の過剰リスクは30年間続くことが示された。喫煙者を、1日の喫煙本数が1~14本、15~24本、25~34本、35本以上の4群に分け、喫煙開始年齢については、17歳以下、18~21歳、 22~25歳、26歳以上で層別化し、禁煙者は、禁煙してから5年未満、5年以上10年未満、10年以上15年未満、15年以上20年未満、20年以上の5群に分類した。
▼禁煙者、非喫煙者と比較した喫煙者の特徴:
18歳以降の体重増加が少ない、高血圧者の割合が少ない、BMIが低い、飲酒量が多い、運動量が少ない等。▼非喫煙者に比べた喫煙者死亡リスク:
総死亡リスクは高く(ハザード比2.81)。脳血管死亡を除くほとんどの死因において、死亡リスクは1日の喫煙本数の増加と共に上昇。
特に、1日当たり35本以上の喫煙と強力な関係が見られたのは、COPD(ハザード比114.55、)と肺癌(39.88)だった。▼喫煙開始年齢と死亡リスクの関係:
喫煙開始年齢が17歳以下だと総死亡のハザード比は2.93。
26歳以降の喫煙開始では2.40。但し、開始年齢と死亡リスクの関係は、血管疾患では有意ではなく、呼吸器疾患、喫煙関連の癌では有意だった。▼喫煙者の喫煙関連癌による死亡のハザード比: 7.25
▼喫煙者の死亡の約64%に喫煙が寄与:
血管疾患死亡ではその割合は69%、呼吸器死亡は90%、肺癌死亡では95%、肺癌その他の喫煙関連癌による死亡は86%、その他の癌は37%、他の死因による死亡でも47%に喫煙が関与していた。▼喫煙者の死亡の約64%に喫煙が寄与:
血管疾患死亡では、その割合は69%、呼吸器死亡では90%、肺癌死亡では95%、肺癌その他の喫煙関連癌による死亡では86%、その他の癌では37%、他の死因による死亡でも47%に喫煙が関与していた。▼肺癌など一部の疾患はリスク消失までに20年以上を要し、喫煙開始年齢が低いほど、呼吸器疾患死亡、肺癌死亡、その他の喫煙関連癌による死亡のリスクが上がる。又、喫煙は大腸癌による死亡のリスクを有意に上昇させる。
▼原題:Smoking and Smoking Cessation in Relation to Mortality in Women
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