■70歳代の体力、12年で5歳若返る 文科省調査 ― 2013年11月01日
70歳代の体力、12年で5歳若返る 文科省調査
文部科学省が10月13日に発表したところに依れば、2012年5~10月に、全国の6~79歳の約74,000人を対象に実施し「体力・運動能力調査」において、高齢者の体力の向上ぶりが分かった。要因は、健康への意識が高まり、スポーツクラブなどで定期的に運動する人が増えた為とみられる。
65歳以上は、調査を始めた1998年度以降、「握力」「上体起こし」「6分間歩行の距離」など殆どの項目で、記録が伸びていて、なかでも70~74歳、75~79歳は、男女とも全6項目の得点合計で過去最高を更新し、70~74歳は2000年の65~69歳、75~79歳も2000年の70~74歳の水準に並んだ。65~69歳の男性の得点合計も過去最高だった。
例えば、70~74歳女性の「開眼片足立ち」は2000年の55秒0→70秒8へと16秒近くも伸び、2000年の65~69歳の72.0秒に迫った。
高齢者層は、フィットネスジムや草野球、ママさんバレーチームなどを含む「スポーツクラブ」への所属率が高く、女性では65歳以上、男性も75歳以上で40%を上回った。最も所属率が低い30代女性の2倍だ。
スポーツクラブに所属している人の1週間の運動頻度をみると、「殆ど毎日する」という人の割合が25~59歳は20%前後だったのに対し、65歳以上では30%を超えていたが、一方、20~64歳の年代のうち、35~39歳は男女とも得点合計が右肩下りだ。仕事や子育てに忙しく、運動する時間が取り難い影響と指摘されている。座った姿勢から上体を前に曲げ、柔軟性を測る「長座体前屈」は、この年代層の大半で低下傾向を示した。
小中高校生(11、13、16歳)の運動能力は、ここ15年間で小学生男子の「立ち幅跳び」を除くすべての項目で横ばい、または向上傾向が見られる。しかし、1985年頃に比べると、中高生男子の「50メートル走」などを除き、依然として低水準だという。
■65歳はもう「高齢者」じゃない? 学会が定義を再検討 ― 2013年10月19日
65歳はもう「高齢者」じゃない? 学会が定義を再検討
一般的に65歳以上とされる「高齢者の定義」について、日本老年医学会と日本老年学会が検証を始めた。身体能力からは75歳以上とする考え方もあり、再検討するという。年金や医療制度などの設計にも影響しかねないため、慎重に議論して欲しいものだ。
総務省の人口推計では65~74歳を「前期高齢者」、75歳以上を「後期高齢者」とし、高齢化率は65歳以上の割合を示す。国際比較できるよう、国連などで定められている分類だ。
一方、近年、身体能力の高い高齢者が増えており、「前期高齢者は、高齢者と呼べない集団ではないか?」などの指摘も出ているため、老年医学会などは専門家15人による検討会を設け、高齢者の再定義ができないか、検討を始めたという。1年程かけて見解をまとめる予定とか。
「社会的、政策的にインパクトが大きい」との意見もあり、定義変更の長所、短所も含め議論するという。
東京都健康長寿医療センター研究所の調査では、2002年時点の65歳以上の身体能力は、日常的な歩行速度が男女共に11歳、握力で4~10歳、10年前より若返っていた。大阪大病院老年・高血圧内科の入院患者のデータ(2012年度)でも「転倒の危険性が増すのは75歳以上」との結果が出ている。
■65歳以上、総人口の25% 80歳以上は930万人 ― 2013年10月15日
65歳以上、総人口の25% 80歳以上は930万人
総務省が「敬老の日」に合わせて行った人口推計で、65歳以上の高齢者人口が2013.9月15日時点で3186万人となり、総人口に占める割合が初めて25%に達したことが分かった。第1次ベビーブームに当たる1948年生まれの人が65歳になったのが要因。
男女別では、男性が1369万人、女性が1818万人。年齢別では70歳以上が2317万人、75歳以上が1560万人、80歳以上が930万人だった。
国立社会保障・人口問題研究所の推計では、高齢者の割合は2035年に33.4%となり、総人口の1/3が高齢者になる見込みだ。
■全国一のご長寿はどこ? 市区町村別の平均寿命公表 ― 2013年09月19日
全国一のご長寿はどこ? 市区町村別の平均寿命公表
厚生労働省は国勢調査に基づき「市区町村別生命表」を5年毎に纏めており、7月31日に2010年の市区町村別の平均寿命を公表したところに依れば、全国で最も長寿だった地域は、男性が長野県松川村(82.2歳)、女性は沖縄県北中城村(きたなかぐすくそん、89.0歳)で、最も短かったのは男女とも大阪市西成区で、男性は72.4歳、女性は83.8歳だった。全国の平均寿命は男性が79.6歳、女性は86.4歳だった。
今回のデータは厚労省のホームページ(http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/life/ckts10/index.html)で確認できる。
■平均寿命の上位5市町村 男性 1 長野県松川村 82.2歳 2 川崎市宮前区 82.1歳 3 横浜市都筑区 82.1歳 4 長野県塩尻市 82.0歳 5 沖縄県南風原町 81.9歳 女性 1 沖縄県北中城村 89.0歳 2 島根県吉賀町 88.4歳 3 北海道壮瞥町 88.4歳 4 熊本県菊陽町 88.3歳 5 福岡県太宰府町 88.3歳
■平均寿命の下位5市町村 男性 1 大阪市西成区 72.4歳 2 高知県土佐清水市 75.6歳 3 大阪市浪速区 75.9歳 4 青森市 76.5歳 5 青森県東通村 76.5歳 女性 1 大阪市西成区 83.8歳 2 和歌山県御坊市 84.0歳 3 青森県階上町 84.2歳 4 大阪市東淀川区 84.3歳 5 青森県大間町 84.4歳
■日本人女性の寿命、再び世界一に 平均86.41歳 ― 2013年09月03日
日本人女性の寿命、再び世界一に 平均86.41歳
厚生労働省が7月25日に発表した「簡易生命表」に依れば、日本人女性の2012年の平均寿命が、再び長寿世界一になった。平均寿命は86.41歳で、前年を0.51歳上回った。男性も前年より0.50歳延び、79.94歳で過去最高になった。
■平均寿命の上位5ヶ国・地域 男性 1 アイスランド 80.8歳 2 香港 80.6歳 3 スイス 80.3歳 4 イスラエル 80.0歳 5 日本 79.94歳 女性 1 日本 86.41歳 2 香港 86.3歳 3 スペイン 84.97歳 4 フランス 84.8歳 5 スイス 84.7歳
平均寿命は、0歳の平均余命を指す。平均寿命は、男女とも戦後直後の1947年は50歳代だった。その後、徐々に延び、女性は84年には80歳を、02年には85歳を超え、2010年までは26年連続で長寿世界一だったが、11年の平均寿命は東日本大震災の影響で男女とも短くなり、女性は27年ぶりに長寿世界一の座を明け渡していた。
海外の国・地域のデータと比べると、日本人女性は11年に1位だった香港を抜き、10年以来の世界一に。日本人男性も前年の8位→5位になった。男性の1位はアイスランド(80.8歳)。
がん・心疾患・脳血管疾患で亡くなる確率は、男性で53.04%、女性は49.32%で、男性は前年より上昇した。これらの疾患による死亡が仮にゼロになった場合、平均寿命は男性で7.37歳、女性で6.17歳延びる計算だという。
■森下仁丹、ザクロエキスが持つ抗糖化/長寿遺伝子活性化作用成分を同定 ― 2013年08月22日
森下仁丹、ザクロエキスが持つ抗糖化/長寿遺伝子活性化作用成分を同定
森下仁丹が7月3日に発表したところに依れば、同社と岡山大学の伊東秀之 准教授、九州大学の片倉喜範 准教授らによって、独自の機能性食品素材である「ザクロエキス」が有する「抗糖化作用」や「長寿遺伝子活性化作用」に関する研究において、それぞれの作用を示す成分を新たに同定・発見し、詳細を「第13回 日本抗加齢医学会総会」にて発表した。
今回の研究は、岡山大学との共同研究から、ザクロ果汁から糖分を除去し、ポリフェノール成分を濃縮して作製したザクロエキスにおいて、タンパク質とブドウ糖による糖化反応の結果作られる最終糖化産物(AGEs)の生成を強力に抑制することを確認。この活性成分の調査を行ったところ、ザクロ特有のポリフェノール成分(プニカリン、プニカラジン)に加え、エラジタンニンという種類のポリフェノールがいくつも連なった成分(ポメグラニインA、ポメグラニインB)の抗糖化活性も強いことを発見したという。
一方、九州大学との長寿遺伝子活性化作用に関連した研究では、ザクロエキスやその含有成分をヒトの腸管を模した細胞に作用させたとき、細胞中の長寿遺伝子(SIRT1)がどのように変化するかの調査を実施した結果、ザクロエキスに含まれるプニカリン、プニカラジンが、SIRT1遺伝子の増強効果を示すことを確認したほか、これらの成分を作用させた細胞中のSIRT1遺伝子の量が増えていること、その活性の強さが長寿遺伝子活性化成分として知られるレスベラトロールと同等以上であることを確認したという。
■「大豆・野菜たっぷり」で認知症予防 九州大など報告 ― 2013年07月04日
「大豆・野菜たっぷり」で認知症予防 九州大など報告
九州大の清原裕教授(環境医学)らの研究チームが、福岡県久山町に住む60~70代の約千人を15年間ほど追跡したデータを分析し、認知症のリスクとの関係が指摘される飽和脂肪酸やカリウムといった七つの栄養素を手がかりに、認知症の予防に役立つ食パターンを探った結果、一定の摂取カロリーの中で、大豆や大豆製品、野菜、海藻、牛乳や乳製品を多めに、相対的にご飯が少なめの組合わせが効果的と判ったと云う。このパターンの度合いが最も高い人たちは、最も低い人たちに比べ、認知症になるリスクが3割程度低かったというもので、米国の臨床栄養学雑誌で報告した。
海外では、これまでオリーブ油や野菜などを多く摂る「地中海食」が認知症の予防に良いという報告があった。但し、オリーブ油の多いメニューは日本人の中高年には不向きなどとも言われていた中で、効果的で、日本人に合った食パターンが判明したのは初めてとのこと。
これまでの調査では、糖尿病があると認知症に掛かり易くなることも判っていて、今回の食パターンは糖尿病ではない人にはより効果的で、同様に比べたところリスクは半減していた。
研究者に依れば、ご飯が控えめなのは、必要な栄養素を他の食品で確保することが大切で、ご飯自体が悪いわけではないと云う。
■糖尿病がアルツハイマー病を悪化させる - 九大が死後脳から確認 ― 2013年06月06日
糖尿病がアルツハイマー病を悪化させる - 九大が死後脳から確認
九大 生体防御医学研究所の中別府雄作 主幹教授らが、英国科学雑誌「Cerebral Cortex」オンライン版の4月17日付けに発表した研究に依れば、九州大学で50年間にわたり継続されている「久山町研究」に献体された人達の死後脳を用いて遺伝子発現プロファイルを調べた結果、アルツハイマー病患者脳では「アミロイドβ」の産生や「神経原線維」の変化で始まるアルツハイマー病特有の病理変化により、脳内の「インスリン・シグナリング系」が破綻しているという。
最近の研究に依れば、その糖尿病やインスリン抵抗性などが、アルツハイマー病を含む認知症発症や進行の危険因子となることが報告ているが、なぜ糖尿病がアルツハイマー病の危険因子となるのか、その分子メカニズムは解明されていない。
今回の研究は、認知症患者の脳における遺伝子発現プロファイルの変化を明らかにすることで、認知症発症の危険因子とその分子メカニズムを遺伝子レベルで解明できるのではないかと考察し、死後脳を用いて遺伝子発現プロファイルを詳細に解析し、その結果をアルツハイマー病のモデルマウスの脳における遺伝子発現プロファイルと比較した。
2008年12月~2011年2月までに久山町研究に献体された人達の死後脳88例についてRNAを抽出し、「マイクロアレイ解析」を実施した結果、前頭葉(非認知症18例、アルツハイマー病15例)、側頭葉(非認知症19例、アルツハイマー病10例)、海馬(非認知症10例、アルツハイマー病7例)について全遺伝子の発現プロファイルを得ることに成功した。
性別・脳血管性認知症・アルツハイマー病の3要因についての分散分析も行った結果、アルツハイマー病による発現プロファイルの変化が最も大きく、さらに前頭葉<側頭葉<海馬の順に顕著な変化が認められた。
そして、アルツハイマー病患者の脳における発現プロファイルを、14ヶ月齢のアルツハイマー病のモデルマウス「3xTg-ADマウス」(変異型マウスPs1遺伝子、変異型ヒトAPP/TAUトランスジーンを持つ)の海馬における発現プロファイルと比較し、精神疾患やアルツハイマー病に関連する既知の遺伝子群の発現変化に加えて、両者共にインスリン不応答性を示す遺伝子発現プロファイルが判明した。
特に、インスリンレセプターと協調的に作用してインスリン・シグナリング、さらに糖代謝の制御を司る肝細胞増殖因子の受容体「MET」と「プロインスリン」の切断、インスリン産生に必須な「PCSK1」の発現低下が顕著なことがわかった。
またアルツハイマー病患者の脳において顕著な発現低下を認めたPCSK1は、3xTg-ADマウスの海馬でも顕著に発現が低下していることが判明。3xTg-ADマウスでは、導入した変異型遺伝子によりアミロイドβ産生と神経原線維変化が著しく亢進し、数カ月齢から認知機能の低下を示した。
しかし、アルツハイマー病患脳におけるインスリン・シグナリング系の遺伝子発現の低下は、インスリン抵抗性や糖尿病の履歴とは無関係なことも確認され、アルツハイマー病の病理変化がインスリン・シグナリング系の遺伝子発現の低下をもたらしたと結論づけた。
インスリン・シグナリング系は神経細胞の生存やその機能維持に不可欠で、インスリン・シグナリング系が破綻したアルツハイマー病患者の脳は代謝障害や炎症反応に起因するさまざまなストレスに対して著しく脆弱であると考えられるという。更に、このような状況下で末梢のインスリン抵抗性または糖尿病を発症すると、さらに代謝障害や炎症反応に起因するさまざまなストレスが増悪し、アルツハイマー病の病態の進行が促進されると考えられるという。
このように、アルツハイマー病の病理変化そのものがインスリン・シグナリング系の遺伝子発現の低下をもたらす為に、末梢のインスリン抵抗性または糖尿病がアルツハイマー病の発症や進行の危険因子になるという。
尚、アルツハイマー病の治療に「インスリンの点鼻療法」が欧米で最近試みられており、認知機能の低下を遅延させる効果が報告されているが、アルツハイマー病脳がインスリン・シグナリングの異常を示すことから、インスリン・シグナリング経路の改善をもたらす薬物も併用することで、よりインスリンの脳保護効果を高めることが期待される。
更に、インスリンと肝細胞増殖因子(HFG)の併用が肝臓における糖代謝を相乗的に改善することも報告されており、アルツハイマー病においてもインスリンとHGFの併用が効果的な神経保護効果をもたらすことが期待されるという。
今回の研究は、遺伝子発現レベルでインスリン・シグナリングの異常を明らかにしたが、アルツハイマー病の主要な初期原因とされるアミロイドβの蓄積がどのようなメカニズムでこのような遺伝子発現の変化をもたらすのか、今後詳細な解析が必要だという。
■アルツハイマー予防効果、DHAは適度に 京大など研究 ― 2013年03月10日
アルツハイマー予防効果、DHAは適度に 京大など研究
京大iPS細胞研究所の井上治久准教授、長崎大薬学部の岩田修永教授らが、2月22日の米科学誌セル・ステムセル電子版に発表した研究に依れば、魚に多く含まれアルツハイマー病の予防に効果がありそうだとされるドコサヘキサエン酸(DHA)は、濃度が高いとかえってよくないという。
アルツハイマー病では、アミロイドβという毒性の高いたんぱく質が神経細胞の外に溜まることが知られ、発症の原因と推定されていて、今回の研究は、アルツハイマー病を若年で発症した家族性のタイプの2人と、高齢で発症した2人から皮膚細胞を提供してもらいiPS細胞にして神経細胞へと変化させたもので、家族性の1人と高齢で発症の1人では、細胞の内部にアミロイドβが溜まっていて、これがストレスとなり、細胞が死に易くなることも判った。
DHAを低い濃度で加えると、ストレスが減って細胞死の割合が減った。しかし濃度がこの4倍ほど高い場合は、かえってストレスが増した。今回の研究は細胞実験なので、食事でどれくらいが適正なのか、現段階でははっきりせず、アルツハイマー病の種類によって効果が違う可能性もあるという。
■骨粗鬆症予防にミカン 黄色い色素が骨を増やす ― 2013年01月19日
骨粗鬆症予防にミカン 黄色い色素が骨を増やす
12月20日付けの米科学誌プロスワンに発表された果樹研究所の杉浦実主任研究員らの研究によれば、ミカンをよく食べることで、ミカンを黄色くする色素であるβクリプトキサンチンに骨を増やしたり減少を抑えたりする働きがあり骨粗鬆症を予防できることを明らかにしたという。
女性が閉経にてホルモンのバランスが変わると、骨粗鬆症にかかり易くなるが、温州ミカンの産地・浜松市の三ケ日町地域で行ってきた研究から、ミカンを多く食べる女性の骨粗鬆症患者が少ない傾向も判っていた。そこで、この地域の閉経後の女性212人で、βクリプトキサンチンの血中濃度と骨粗鬆症の関連を調べたところ、ミカンを毎日4個食べることに相当する血中濃度の人は、ミカンを食べない日がある人よりも、骨粗鬆症にかかるリスクが92%低いことがわかった。
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ミカンが閉経後の骨粗しょう症を防止!?
http://news.mynavi.jp/news/2012/12/27/076/index.html
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