■携帯電話と脳腫瘍の関連が示される ― 2009年11月02日
米カリフォルニア大学バークレー校のJoel Moskowitz氏および韓国の研究員らが「mobile phones(携帯電話)」「cellular phones(セルラー電話)」「cordless phones(無線電話)」、および「tumors(腫瘍)」「cancer(癌/がん)」のキーワードで既存の研究の医療データベースをレビューした結果、全体では携帯電話と脳腫瘍との間には良性、悪性ともに関連はみられなかったが、より厳密な方法を採用した研究では有害な影響が報告されていたのに対し、厳密さが低い研究(多くは業界団体の支援によるもの)では保護効果があるとの結果が出ていることを、医学誌「Journal of Clinical Oncology(臨床腫瘍学)」オンライン版に10月13日に発表した。厳密な方法で実施された研究では、10年以上の携帯電話の使用により脳腫瘍の発症リスクが18%増大するほか、一部の研究では携帯電話を使用する側の脳に腫瘍が発生する比率が高いことも示された。
一方、セルラー通信工業会(CTIA-The Wireless Association)など業界の一部は、今回の結果に異議を唱えており、無線機器は無害であると結論した研究が圧倒的に多いと、主張している。
▼原文:Study Suggests Link Between Cell Phones and Brain Tumors
■「日焼けマシン、発がんリスク最高レベル」 WHO ― 2009年08月03日
世界保健機関(WHO)の国際がん研究機関(IARC)は、日焼けマシンと皮膚がん(メラノーマ)との関係を調べた19論文を分析した結果、人工的に紫外線を出す「日焼けマシン」の使用による発がんリスクについて、30歳未満で日焼けマシンを使った経験のある人は、使ったことのない人より75%もリスクが高く、眼球の色素細胞にできるがんのリスクも高いことが判ったという。
これらのことより、「日焼けマシン」の使用は発がんリスクを確実に高めるとして、発がんリスク分類でもっとも危険性の高い「グループ1」に引き上げた。発がんリスク分類で危険性が最も高いには、アスベストやたばこ、X線、太陽光などがあり、「日焼けマシン」は、これらと同レベルになった。
従来、紫外線のうち「B紫外線(UVB)」にだけ発がん性があると考えられていたが、「A紫外線(UVA)」もUVBと同じように発がん性があることもわかったという。地上に降り注ぐ紫外線の95%が「UVA」だ。
■電磁波:影響を考える冊子発行--市民団体グループ ― 2009年01月30日
毎日新聞 ライフスタイル > 健康 > アーカイブ 2009/01/20
市民団体で組織した「電磁波から健康を守る百万人署名連絡会議」(東京都)が昨年4月、福岡市で開いた電磁波に関するシンポジウムの講演などを収めた報告書(59ページ)をまとめた。
1冊500円。問い合わせは〒113-0033 東京都墨田区江東橋4-29-16-702、墨東行政書士事務所内の同連絡会議(電話03-5600-8246)
■磁気活水器、有害物質除去せず 全テスト商品で ― 2008年09月06日
国民生活センターは20日、有害なトリハロメタンや残留塩素を水道水から除去・低減する効果を謳う「磁気活水器」について、テストした6社の6商品全てで、その効果はなかったと発表した。景品表示法に触れる恐れがあるとして公正取引委員会に業者の処分を要望した。テストした商品は、配管工事なしに蛇口や水道管を挟み込むように取り付けるタイプで、インターネットや訪問販売などで約3,000~230,000万円で売られ、広告や資料には「磁場を通過する際に塩素やトリハロメタン等の有害物質も軽減され、まろやかな味の水に変化します」などと書かれていた。
試験は、トリハロメタンや塩素を溶かした試験水を、10L/分で10分間蛇口から流した時点で、濃度を調べたが、磁気活水器の有無で違いはなかったという。
浄水器は家庭用品品質表示法で「水道水から残留塩素を除去する機能があるもの」と定義されているが、「活水器」にはこうした基準がない。
■携帯電話の健康への影響については幅広い研究が必要 ― 2008年02月03日
米国食品医薬品局(FDA)の要請により、米国学術研究会議(NRC)がまとめた新しい報告書によれば、携帯電話の利用者が増え続け、技術も進化し続けているが、高周波エネルギーへの長期的に使用した場合に生じる健康リスクについて、今後、本格的な研究により検討する必要があるという。NRCは、報告書作成にあたり、昨年(2007年)8月に3日間のワークショップを開催し、米国のほか9カ国から専門家を集め、未研究の問題を洗い出した。報告書では、以下の影響について、今後、本格的な研究により検討する必要があるとしている:
このほか、脳腫瘍、神経障害ないし認知障害との関連についても研究が必要である。
- * 携帯電話、無線パソコンおよび基地局アンテナなど、あらゆる無線機器への長期曝露(特に小児、妊婦および胎児)
- * 無線ネットワークの急速な拡大、それに伴う基地局アンテナおよび電磁場の増加。
- * 携帯電話のアンテナ設計の変化。
- * 携帯メールの導入など、携帯電話の使われ方の変化。Bluetooth(コンピューターと周辺機器、携帯電話などをワイヤレスで接続する無線通信規格)技術による身体の高周波エネルギーへの曝露部位の拡大。
▼原文: Report Urges More Research Into Cell Phones
Experts cite a lack of knowledge of health risks posed by long-term use
■送電線の磁界、国が規制へ WHO示した基準で 経産省 ― 2007年10月27日
WHOが、6月に磁界が健康に悪影響を及ぼすのを避けるための規制値案を示したことを受け、経産相諮問機関の作業部会 である総合資源エネルギー調査会・電力安全小委員会で、23日、世界保健機関(WHO)の規制値の採用が了承された。年明けにも省令を改正されることになる。
一方、低周波の磁界を長く浴びると小児白血病になりやすい、との報告が国内外にあるが、WHOが「発がん性の証拠は不十分」としたのを受け、経産省も今回、長期的な影響を避けるための規制は見送る方針。
■妊婦に魚すすめる新見解 ― 2007年10月22日
YOMIURI ONLINE > 医療と介護 > ニュース 2007/10/12
妊婦らの魚摂取量をめぐっては、米食品医薬品局(FDA)がこれまで、魚に含まれるメチル水銀の胎児への悪影響を恐れて、340g/週以下にするよう指導してきていたが、米小児科学会や米公衆衛生局などでつくる母子健康増進団体「HMHB」は、妊娠中や授乳中の女性は、母子の健康のために340g/週以上の魚を食べるべきだと勧告した。HMHBの報告書では、妊婦らに対し、サケやマグロ、イワシなどの魚を積極的に食べるよう勧告。
魚には、「ドコサヘキサエン酸(DHA)」など、子供の脳の発達に欠かせない栄養素が多く含まれていることや、早産のリスクを減らしたり、産後のうつ状態を改善させたりする効果もあるとしており、水銀の問題については、マグロなどの魚に含まれる栄養素のセレンが、水銀の毒性から体を保護してくれる可能性が高いと指摘。妊婦や授乳中の女性にとって、魚を食べることの方が利点が大きいと主張している。
日本では、厚生労働省が2005年に、妊婦が注意すべき魚介類の種とそれぞれの摂取量を公表しており、ミナミマグロの刺し身1人前なら週2回まで、クロマグロなら週1回までとしている。
■化学物質:発育へ影響は…子供10万人、追跡調査 胎児→12歳、環境基準見直しも ― 2007年10月13日
毎日新聞 ライフスタイル > 健康 > アーカイブ 2007/10/05
ダイオキシンや水銀など身の回りの化学物質が子供の発育に与える影響を見極めるため、環境省は来年度から、約10万人について心身の発達ぶりを赤ちゃん~12歳前後まで毎年調べる、大規模調査に乗り出す方針を決めたという。計画は、調査は09~10年度に、年間出生数の1割弱に当たる全国10万人の妊婦を登録。喫煙など生活状況をアンケートし、採血してダイオキシンや水銀、鉛、有機フッ素化合物などの主な有毒化学物質の血中濃度を調べるというもの。
同省によると、胎児期から胎盤を通じて水銀などの有害物質の影響を受けているほか、腸からの鉛の吸収率は1~2歳児で成人の5倍。生後6カ月までは、脳に必要以外の物質が入るのを防ぐ「血液脳関門」の機能が不完全など、子供は化学物質に弱いとされており、先天異常やアトピー、発達障害などと化学物質の因果関係解明も目指すという。
■薬剤耐性遺伝子、海の細菌から人体へ移動も 愛媛大研究 ― 2007年09月22日
愛媛大沿岸環境科学研究センターの鈴木聡教授らが、松山市で開催中の日本微生物生態学会と国際微生物生態学シンポジウムアジア大会の合同学会で17日、発表するところによれば、抗生物質を効かないようにする薬剤耐性遺伝子は、自然界の海洋細菌から、人の体内にもいる大腸菌や腸球菌に移動し易いことが分かったという。鈴木教授は「環境中の菌から、人の体内の病原性の大腸菌などに耐性遺伝子が移ると、抗生物質が効かなくなる恐れがある」と話している。
■家庭内のカビがうつ病の原因 ― 2007年09月16日
米ブラウン大学(ロードアイランド州プロビデンス)のEdmond D. Shenassa氏らは、カビと精神衛生上の問題との関連を検討するため、2002~2003年に世界保健機関(WHO)がフランス、ドイツ、スロバキア、ハンガリー、ポルトガル、イタリア、スイス、リトアニアの8都市から収集したデータ(約3,000世帯、18~104歳の約 6,000人の対象者に直接問診を実施したもの)を解析した結果を、米医学誌「American Journal of Public Health」10月号に発表したところによれば、湿気が多くカビの生えた家に住む人は「うつ病リスクが高い」ことが示された。米国では、住居内のカビの許容量についての指針はないが、カビの胞子を吸い込むと呼吸器のアレルギー反応が誘発されたり、喘鳴、息切れ、肺感染症のほか、鼻詰まり、咳、頭痛、皮膚や喉、目の炎症が生じたりするという。特に、アレルギーや喘息患者、癌の化学療法中などで免疫不全状態にある人はリスクが高い。
湿気やカビの全くない住居で暮らす人は57%であったが、地域差が大きく、カビがある家はポルトガルでは80%以上、スロバキアでは25%未満だった。被験者の9%が「うつ病」であるとされ、ほかの因子を考慮しても、カビと「うつ病」との間に関連性が有り、カビのある家で暮らす人は「うつ病」リスクが約40%高いという。
最近のコメント