■肥満が免疫反応を弱める ― 2007年12月29日
肥満が免疫反応を弱める
ボストン大学(マサチューセッツ州)歯学部のSalomon Amar博士らが、米国科学アカデミー発行の「Proceedings of the National Academy of Sciences(PNAS)」オンライン版に12月12日に発表したところによれば、肥満の人が感染症に弱いのは、免疫反応の弱さが原因であることが示された。肥満の人の感染症が治りにくい理由は長い間わかっていなかったが、今回、肥満によって一部の免疫機序に機能不全が生じることが明らかになったという。
研究は、歯肉感染症を引き起こす細菌Porphyromonas gingivalis(ポルフィロモナス・ギンギバリス)で汚染した絹糸を肥満マウスおよび標準体重マウスの臼歯(きゅうし)に結びつけ、骨の欠損および歯周辺の細菌の成長を評価することによって、感染症に対する反応を比較したもので、その結果、肥満マウスには細菌に対する免疫反応に欠陥がみられ、標準体重マウスに比べて感染症に罹り易いことが判明した。
このほか、感染症予防に重要な役割を果たすマウスの白血球についても調べたところ、肥満マウスの白血球は、重要なシグナル分子の値が低く、炎症を抑える遺伝子の一部に変性が認められたという。なぜ肥満がこのような結果をもたらすのかは不明だが、NF-kBと呼ばれる蛋白(たんぱく)を制御するシグナル経路の関与が考えられるという。実際、ヒトを対象とした研究で、肥満の人が標準体重の人に比べて歯周病になりやすいことが明らかにされている。
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