■がん予防「野菜の効果」は限定的 世界がん研究基金が報告書 ― 2007年12月01日
世界がん研究基金(本部・ロンドン)が公表した報告書によれば、がん予防のためには、野菜を食べるだけでは安心できないという評価が出た。報告書は、生活習慣とがんに関する研究のうち、この10年間に発表された3000件を加えた計7000件を解析。野菜、肉、アルコールの摂取や運動などが、がんにかかる危険性と関係する程度を、5段階で評価した。
97年の初版では、野菜の摂取は肺など5種のがんについて「確実にリスクを下げる」と5段階で最も高く評価されたが、今回は胃がんなどについて、「恐らく確実にリスクを下げる」とされるにとどまった。
代わって浮上したのは、「適正体重の維持」「肥満」(日本では体格指数=BMI25以上)で、食道、膵臓、大腸、乳房(閉経後)、子宮体部、腎臓の各がんで「リスクを確実に上げる」だった。97年の初版は各国のがん対策に反映されており、今回の報告書も影響を与えそうだという。果実も似た傾向にあり、前回は8種のがんにかかる危険性を「確実」「恐らく確実」に下げるとされたが、今回は、胃など4種のがんの危険性を下げるのが「恐らく確実」だった。
ただ、一般的には野菜を多く食べ、運動することで「肥満」を防げるとされる。
■女性のBMIは癌リスクと相関関係あり ― 2007年12月02日
Nikkei Medical Online HOT NEWS 2007/11/28
英国人女性122万人対象の研究結果より
英国Oxford大学のGillian K Reeves氏らが、BMJ誌電子版に2007年11月6日に発表したところによれば、BMIが高い女性ほど子宮内膜癌、食道腺癌などの癌罹患リスクおよび死亡リスクが上昇することが明らかになった。英国人女性を対象とするMillion Women Studyは、1996年~2001年にかけて50~64歳の女性1,222,630人(平均年齢55.9歳)を登録し、癌罹患について平均5.4年、癌死亡について平均7.0年追跡した大規模研究だ。
今回の分析では、対象者をBMIに基づいて5群(22.5未満、22.5~24.9(参照群)、25.0~27.4、27.5~29.9、30以上)に分類した。過体重は25-29.9、肥満は30以上とした。
BMI が高いほどリスクが上昇していたのは、子宮内膜癌、食道腺癌、腎臓癌、白血病、多発性骨髄腫、膵臓癌、非ホジキンリンパ腫、卵巣癌、閉経後の乳癌、閉経後の大腸癌、そしてあらゆる癌だった。
逆にBMIが上昇すると相対リスクが減少したのは、食道の扁平上皮癌と肺癌だった。
喫煙が関係すると思われる腎臓癌や食道腺癌では、喫煙歴なしの女性のみを対象とするとリスクは大きくなった。BMIと死亡率の関係も、罹患率とほぼ同じだった。
■大豆好き女性 脳梗塞・心筋梗塞減る 厚労省研究班調査 ― 2007年12月04日
27日発行の米医学誌「サーキュレーション」に発表された厚生労働省研究班(班長=津金昌一郎・国立がんセンター予防研究部長)の調査によれば、豆腐や納豆、味噌など大豆製品をよく食べる女性は、脳梗塞や心筋梗塞になり難く、閉経後の女性に特に効果があるという。研究は、40~59歳の心臓病やがんに罹っていない男女計40,4624人(男女比1対1)を対象に、90~02年の13年間、健康状態を追跡し,そのデータを基に、大豆製品を1日に食べる量別に5群に分けて、脳梗塞と心筋梗塞の発症率との関係を分析したもの。
その結果、一番よく食べる群の女性は、脳梗塞や心筋梗塞になる危険性が、一番食べない群の女性に比べ0.39倍と低かった。更に、閉経後の人に対象を絞ると、危険性が0.25倍と大幅に低くなった。男性で差がなかった。一番よく食べる群が1日に食べる大豆製品の量は、納豆を1パックまたは豆腐1/3丁程度。
研究班によれば、大豆は女性ホルモンと似た働きをするイソフラボンを多く含みビタミンEなども豊富であり、大豆に含まれる複数成分の効果に加え、一緒に野菜や海藻などを食べる献立になり易いことで、単体の成分ではなく複数の成分が効いていると分析している。
■がん遺伝子使わず、万能細胞を作製…京都大学研究グループ ― 2007年12月05日
YOMIURI ONLINE > 医療と介護 > ニュース 2007/12/01
11月30日付の米科学誌ネイチャー・バイオテクノロジー(電子版)によれば、人間の皮膚細胞から、「万能細胞」を作った京都大学の山中伸弥教授(幹細胞生物学)らの研究グループが、課題とされたがん遺伝子を使わずに、人間とマウスで万能細胞を作製したという。先の発表の論文では、使用した遺伝子の一つはがん遺伝子であるため、がん化の問題が課題だったが、マウスの皮膚細胞にがん遺伝子(c―Myc)を除いた3個の遺伝子を組込み、細胞選別の時期を遅らせるなど培養方法を工夫し、ごく少量だがiPS細胞ができることを確かめた。人間の皮膚細胞でも3個の遺伝子でiPS細胞ができたという。
がん遺伝子を使わずに作ったマウスのiPS細胞を普通のマウスの胚に入れ、細胞が混じり合ったキメラマウスを作製。26匹すべてが生後100日たってもがんを起こさずに生き残った。一方、がん遺伝子を組み込んだiPS細胞で作ったキメラマウスは、6/37匹が、がんで死んだ。
■趣味の写真/ 晩秋のシルエット ― 2007年12月13日
■子どもの咳止め、蜂蜜が効果 米大学チーム ― 2007年12月15日
米ペンシルベニア州立大の研究チームが4日、医学誌に発表したところによれば、風邪を引いた2~18歳の子ども100人以上を対象に、ソバ蜂蜜、咳止め薬、ダミーの服用剤の3種類を就寝前に服用してもらいその効果を比較した調査を行ったところ、蜂蜜を飲用後、咳の頻度が減ったとの回答が最も多かったことより、子どもの咳止めには市販薬より、蜂蜜を飲ませる民間療法の方が安全で効果的という調査結果を発表した。蜂蜜に含有する抗酸化物質が咳止めにつながったと分析されるが、ただ、1歳未満の乳児にはボツリヌス中毒の恐れがあるため、蜂蜜を控えた方がいいという。
■趣味の写真/晩秋のシルエット! ― 2007年12月15日
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■CTスキャンの多用により癌リスクが増大 ― 2007年12月18日
米コロンビア大学(ニューヨーク)のDavid J. Brenner氏およびEric J. Hall氏らが、米医学誌「New England Journal of Medicine」11月29日号に発表したところによれば、1980年代以降、米国ではCTスキャンの施行件数が急激に増えたことで高線量の放射線曝露による癌リスクが増大しているという。CTスキャンでは、通常行われるX線撮影の50~250倍の放射線量を浴びることになり、個人単位のリスクは小さいものの、大きな集団単位では将来的に問題が出てくるという。
Brenner氏によれば、「放射線による癌の発症までには長期間を要するが(但し白血病は10年以内に発症することがある)、数十年後には、今実施されているCTスキャンに起因する癌が、癌全体の1.5~2%を占めるだろう。」。Brenner氏とHall氏は、CTスキャンのリスクを軽減させる手段として、次の3つの提案をしている。
▼原文:
- 放射線量を個々の患者に合わせて調節する、
- 超音波やMRI(磁気共鳴画像)など放射線リスクのない別の手段がある場合はCTスキャンの使用を避ける、
- CTスキャンの施行件数を減らす。
Rise in CT Scans Poses Cancer Risk
One-third of the scans are unnecessary, Columbia researchers contend
■過体重児は成人後の肥満/心疾患/死亡リスク高い ― 2007年12月24日
米医学誌「New England Journal of Medicine」12月6日号に掲載された二つの研究によれば、小児期および青少年期に過体重の人は、成年期にも過体重および肥満になりやすく、若いうちに心疾患になり死亡する比率が高いという。第一の研究は、1930~1976年に小児だったデンマーク人約27万7,000人(いずれもコペンハーゲンの児童)を対象としたもの。
このうち、小児期のBMI(肥満指数)が確認でき、かつ成年期で冠動脈性心疾患(CHD)と診断されるか同疾患で死亡したのは、男性1万200人、女性4,300人であった。7~13歳のときにBMIが高かった男児および10~13歳で高かった女児では、成年期に心疾患イベントが生じるリスクが高いことが判明した。例えば、13歳の少年の体重が平均よりも11.2kg重い場合、60歳前に冠動脈イベントを起こすリスクが 33%高い。第二の研究は、米カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)のKirsten Bibbins-Domingo氏らによるもので、コンピューターモデルを用いて、2000年での過体重の青少年の数から、成年期で過体重となる数を推定したもの。
■夜間勤務も発癌因子に ― 2007年12月25日
世界保健機関(WHO)所属組織である国際癌研究機関(IARC)が、疫学データ・動物研究の結果、夜間勤務と腫瘍形成とを結びつけるメカニズムに関する研究について詳細に調べた結果、バー、コンビニエンスストア、病院などでの夜間勤務がヒトの癌に何らかの形で寄与している可能性が示されたと、医学誌「Lancet Oncology」12月号に発表された。これは発癌リスクを評価する国際癌研究機関(IARC)による結論で、夜間勤務を「発癌性がおそらくある因子(probable carcinogen)」として正式にリストに加えることを予定しているという。
しかし、IARCの定義はあくまでも夜間勤務が「おそらく」癌リスクをもたらすというもので、明らかな発癌因子とされるアスベストや喫煙ほど十分な根拠があるわけではなく、リスク軽減の方策はあまりなく、長期にわたるメラトニン補充も勧められないと専門家はいう。米国癌協会(ACS)は、まだ十分な検討ができていないとして、IRACでのリスト掲載についての判断は見合わせているとコメントしている。
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