・[解説]トランス脂肪酸の安全性 ― 2007年07月14日
YOMIURI ONLINE > 医療と介護 > ニュース 2007/06/26
過剰摂取心疾患の危険 含有量製品ごとにバラつき脂肪酸には、肉類や乳製品に多く含まれる飽和脂肪酸と植物油に多い不飽和脂肪酸があり、常温で液体の不飽和脂肪酸は、体内でも固まりにくいとされ食用油として広く使われるが、この不飽和脂肪酸を、マーガリン、ショートニングなどとして使う時に固形化させるため水素を添加する際にできるのがトランス脂肪酸である。
このトランス脂肪酸は、動脈硬化などの原因となる「悪玉コレステロール」(LDL)を増やし、予防効果のある「善玉コレステロール」(HDL)を減らすという研究が相次いでいる。長期にわたる大量摂取で、心筋梗塞など心疾患のリスクが高まるために規制が欧米で進む中、内閣府・食品安全委員会は「欧米に比べて摂取量は少なく、切迫した危険はない」との調査結果を公表した。
世界保健機関(WHO)と食糧農業機関(FAO)は、2003年の報告書で、トランス脂肪酸の摂取量は最大でも1日あたりの総エネルギー摂取量の1%未満とするように勧告した。
デンマークでは、04年から国内のすべての食品について、使用される油脂100g中トランス脂肪酸の含有量を2g未満とする規制を設けた。
米国は06年から加工食品に含有量の表示を義務付け、ニューヨーク市は昨年12月、市内のレストランなどでの使用を原則的に禁止した。こうした規制の広がりを受け、食品安全委員会は、昨年度、国内に流通するパン類、乳製品、マーガリンなど386の食品に含まれるトランス脂肪酸の含有量を分析し、国民健康・栄養調査の食品群別摂取量と食品加工油脂の生産量をもとに、国民の摂取量を推計し、21日公表したところによれば、1日当たりトランス脂肪酸の摂取量は、0.7g~1.3g(1日あたりの総エネルギー摂取量に占める割合は、約0.3~0.66%)だった。いずれも欧米の摂取量に比べて少なく、WHOの示した基準値以下だった。ちなみに、各国の推計摂取量(摂取した食品から推計、日本では0.7gに相当)は、アイスランド男性は6.7g、米国は5.8g(成人平均)、デンマーク男性は2.9gだった。
規制も重要だが、大切なのは、トランス脂肪酸の危険性を冷静に受け止め、偏食、過剰摂取を控え、バランスの良い食事を心がけることと結んでいる。
・運動時の水がぶ飲みで、低ナトリウム血症の恐れ ― 2007年07月14日
ジョージタウン大医療センター(ワシントン)のジョセフ・バーバリス教授が、医学誌スポーツメディシン5月号に発表したところによれば、運動する際に水をがぶ飲みし過ぎると、けいれんや呼吸困難といった運動誘発性の低ナトリウム血症(EAH)におそわれかねないと、適度の水分補給を呼びかけている。ある年のボストンマラソンでは参加者の約13%がEAHになった。今年のロンドンマラソンでも1人が死亡したという。トライアスロンや軍隊の行軍などでも報告例がある。過去のマラソン大会の調査で、レース中に3リットル以上の水を飲んだ人がEAHになるリスクが高かったという。
バーバリス教授によれば、「水の代わりに、塩分を含むスポーツ飲料を飲めばEAHを予防できるというのは誤解。スポーツ飲料も飲み過ぎると、やはり水分を取りすぎるリスクがある」と指摘する。
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