・精液の質低下と出生時の性比の低下は無関係? ― 2007年04月07日
Medical OnLine > Hot News 2007/03/26
避妊をやめてから妊娠までの期間と性比低下の解析より男性の精液の質が低下と共に、出生児に占める男児の割合が減少した原因に、環境中の内分泌撹乱物質に起因するという説があるが、英国London Imperial CollegeのMike Joffe氏らが、BMJ誌3月10日号に報告したところによれば、男性の生殖能力のマーカーの一つである、避妊をやめてから妊娠までの期間と、性比低下の関係において、これらの間には有意な関係はないと結論つけた。
本報告は、デンマークと英国で行われた4件の大規模な集団ベースの調査(1972-2002年に実施)の結果を分析したもので、対象は、不妊治療なしに妊娠、出産に至った49506人の単生の生産児で、質問票を用いて妊娠までの期間を調査したもので、 解析の結果、妊娠までの期間と性比には、有意な関係も、傾向も見い出されなかったという。
原題は「Sex ratio and time to pregnancy: analysis of four large European population surveys」概要はこちらで閲覧できる。
原題:「Sex ratio and time to pregnancy: analysis of four large European population surveys」
・ベストセラーの著者に牛乳業界が質問状 有害の根拠示せ< ― 2007年04月07日
・飲酒ですぐ赤くなる人、食道がんにご用心 ― 2007年04月09日
YOMIURI ONLINE > 医療と介護 > ニュース 2007/04/02
世界保健機関(WHO)は、アルコールとがんの因果関係についての見解を約20年ぶりに見直し、英医学誌「ランセット・オンコロジー」4月号に発表したしたところによれば、アルコールの分解過程で重要な役割を果たすアルデヒド分解酵素(ALDH2)の一部が欠損し働きの悪い人(飲酒で顔が赤くなり易い人)は、飲酒量に比例して食道がんになる危険が高まり、酵素が正常な人の最大12倍になるという。20年前にWHOが「飲酒との関係」を認定したのは食道がん・肝臓がんなど限られたがんだけだったが、今回は乳がん・大腸がんとの間にも「因果関係があるのは確実」とした。
アルコールを50g/日(ビール大瓶2本程度)摂取した人の乳がん発症率は、飲まない人の1.5倍。大腸がんの発症率も飲酒しない人の1.4倍になるという。
・子どもにメタボ基準 ウエストや血中脂肪 厚労省研究班 ― 2007年04月09日
生活習慣病の予防は子どもの頃からと、6~15歳を対象とする「メタボリック症候群」の診断基準を、厚生労働省の研究班(主任研究者=大関武彦・浜松医科大教授)がつくった。メタボリック症候群は動脈硬化を招きやすく、基準としてはウエストのサイズがもっとも重視され、男女とも80cm以上を「赤信号」とし、そのうえで、血圧、空腹時血糖値、高脂血症の3項目のうち2項目以上に当て嵌まった子を「小児メタボリック症候群」とした。
また、ウエストを身長で割った数値が0.5以上を「黄信号」とし、これに該当する子や、ウエスト80cm以上だが3項目には当てはまらない子らも「予備軍」とした。
大関教授は小児メタボリック症候群の原因として、次の要因を挙げている。
- 肉やバターなど動物性脂肪の多い食事
- いつでも買い食いできる環境
- 不規則な食事
- 運動不足
・休肝日:同じ酒量ならば…多いほど良し ― 2007年04月15日
毎日新聞・ 暮らし ・ 健康 2007/04/07
厚生労働省研究班(担当研究者=丸亀知美・国立がんセンターがん対策情報センターがん情報・統計部研究員)が、6日米国の専門誌に発表したところによれば、酒量の多い人では、酒を飲まない「休肝日」の多い人の方が、休肝日の少ない人よりも死亡率が低くなるという調査結果を発表した。調査は1990~93年に岩手、長野、高知、長崎、沖縄など8県9地点に住む男性約42,000人を対象に飲酒や生活習慣に関するアンケートを実施し、03年まで追跡したもの。
追跡調査期間中に死亡した約3,900人について、飲酒の頻度や飲酒量を調べたところ、1週間あたりのエタノール摂取量が300g/週(毎日日本酒2~3合)以上になると、同じエタノール摂取量でも「休肝日無し」グループの方が、「休肝日有り」のグループより死亡率が大幅に上がった。
年齢や喫煙習慣、肥満度など死亡に関連する他の要素の影響を考慮しても、エタノール摂取量が300~449g/週の場合、「休肝日無し」グループの死亡率は、「有り」グループの1.5倍、450g/週以上では1.8倍になった。エタノール摂取量が600g/週を超えると、休肝日の有無にかかわらず、死亡率が高くなった。
休肝日が無いと、酒の代謝後にできる「発がん性を持つ物質」が常に体内に存在し、がんの危険性が高まるのかもしれない。
・食品の抗酸化力を示す統一基準作りを目指す研究会を発足 ― 2007年04月21日
第一線の研究者と食品・流通企業が研究会を発足
食品が持つ抗酸化力を、一定の指標で示すための基準作りを目指す「Antioxidant Unit 研究会」が4月1日に発足した。名古屋大学大学院生命農学研究科の大澤俊彦教授を理事長に、京都府立医科大学大学院の吉川敏一教授が副理事長に就任。独立行政法人国立健康・栄養研究所の渡邊昌理事長、独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構食品総合研究所の津志田藤二郎食品機能研究領域長ら、食品の機能性成分研究の第一人者とされる面々が理事を務める。
リコピン、カテキン、アントシアニン、イソフラボンなど、食品に含まれる抗酸化成分には、生活習慣病の予防や改善、美容効果があるということが知られるようになっている。とはいえ、抗酸化力の強さを測る一定の基準がない。
米国農務省と米国立老化研究所の研究者らが開発した活性酸素吸収能力(ORAC)という評価方法を基本に、食品の抗酸化力の統一指標「Antioxidant Unit」の確立を目指す。財団法人食品分析開発センター「SUNATEC」は、2007年1月からORAC Unitの測定を受託している。研究成果については、2007年11月27日から京都市で開催のInternational Conference on Food Factorsで発表される予定。
▼「Antioxidant Unit 研究会」 http://www.antioxidant-unit.com/index.htm
・やせ過ぎ:怖い 死亡リスク倍増、骨弱く折れやすい ― 2007年04月22日
毎日新聞・ 暮らし ・ 健康 2007/04/13
厚生労働省の国民健康・栄養調査によると、体重(Kg)を身長(m)の2乗で割ったBMI(体格指数)が18.5未満の「やせ」の割合は、20代女性の場合、84年は14.8%だったが04年には21.4%と増えている。一方、男性は若年層でもほぼ横ばいで、30代は減少傾向にある。国立がんセンターなどが、40~59歳の男女約4万人を対象にBMIと死亡率の関係を10年間追跡調査した結果、具体的な因果関係は不明だが、肥満だけでなく、やせ過ぎでも死亡リスクが高くなるという。
BMI 23~24.9のグループを基準にすると、男女とも「14~18.9」「30以上」の死亡率は、それぞれ約2倍だった。米国で65歳以上の女性を対象に、体重と大腿骨骨折の関係を調べたところ、「57.8Kg以下」のグループは、「73.3Kg以上」グループより骨折した人が2倍も多かったことより、肥満で骨に負担がかかるよりも、やせ過ぎで骨密度が低下することの方が骨折の危険度を高めているとみられる。
大蔵倫博・筑波大講師(健康体力学)の研究によれば、34~66歳の肥満の女性154人に減量プログラムに参加してもらい、脂肪が減った部位などを調べた結果、腹部の脂肪が減るほど高血圧、高コレステロールなど心疾患のリスクが改善。一方、太ももなどの脂肪は減らない人の方がリスクが減少したことより、体重を減らすなら腹部を中心にして、下半身は太めの方が心臓病につながる危険が少ないという。
鈴木真理・政策研究大学院大教授(内科学)によれば、3カ月以上標準体重の80%以下の状態が続き、月経がないのに異常と思わないようなら拒食症の可能性もあるという。
※標準体重(キロ)の計算方法:
・身長160cm以上 :(身長-100)×0.9
・150cm超~160cm未満 :(身長-150)×0.4+50
・150cm以下 :(身長-100)
・早起き:朝食で成績アップ 夜更かしっ子、キレやす ― 2007年04月25日
毎日新聞・ 暮らし ・ 健康 2007/04/15
日本小児保健協会の幼児健康度調査によれば、午後10時以降に就寝する幼児(1歳~6歳)の割合は、90年は31%だったが、00年には50%まで増えた。夜更かしの子どもが増えるに従い、朝食を食べない子どもも多くなった。東京北社会保険病院副院長の神山潤さんによれば、夜更かしする子どもは慢性的な睡眠不足になり易くなり、鎮静作用がある「メラトニン」や、感情のコントロールをつかさどる「セロトニン」などのホルモンの分泌に影響が出てくるという。また、朝日を浴びることで体内リズムを整える働きがあるという。
小児科医や保育の専門家の集まり「子どもの早起きをすすめる会」が、06年に4歳から6歳の子ども140人を対象に、「睡眠覚醒リズムと行動」に関する調査を行い、「ひきこもり」「不安・抑うつ感」「非行的行動」「攻撃的行動」などの有無を就床時刻との関係で調べたところ、寝るのが遅い子ほど、こうした問題行動や感情が多く見られたという。
また、福岡教育大学の横山正幸名誉教授が、小学校4~6年生を対象に、学力と就寝時間の関係を調べた結果では、学力上位者の50%の就寝時間は午後9時半までに集中したが、10時半以降に寝ている子どもに成績上位者は一人もいなかったという。
・赤ワインで眼病予防を期待 ― 2007年04月25日
YOMIURI ONLINE > 医療と介護 > ニュース 2007/04/21
ポリフェノールが目の血管を拡張旭川医大などの研究チームが,日本眼科学会で4月20日発表したところによれば、赤ワインなどに含まれるポリフェノールの一種「レスベラトロール」に豚の目の血管を拡張させる機能があることを突き止めた。
同様の効果は、血中のコレステロールを低下させる「スタチン」にもあるが、スタチンが血管内皮に作用するのに対し、レスベラトロールは、血管内皮とその外側にある平滑筋の両方に作用し血管を広げていた。
人間で同様の効果が得られるかを確かめ、目の病気を予防する薬の開発が期待される。
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