・統合失調症に関係する遺伝子発見 理研など ― 2007年03月04日
米科学アカデミー紀要電子版に発表された、理化学研究所(理研)と米マサチューセッツ工科大(MIT)の共同研究グループの研究によれば、統合失調症の発症には、中枢神経系に多い酵素「カルシニューリン」の遺伝子が関係するとみられるという。カルシニューリンは、神経伝達物質であるドーパミンとグルタミン酸の働きを調整する機能があり、カルシニューリンをつくったり、働きを調節したりする遺伝子に異常のあるマウスは、統合失調症に似た行動異常を示すことが知られており、研究グループは関連する14個の遺伝子について、日本人の統合失調症患者への影響度合いを遺伝解析の手法を使って調べた結果、14個のうち特定の4個の遺伝子に異常があると発症確率が高まることが分かったという。
・トランス酸:米・NY市が飲食店に削減義務づけ 日本人への影響は? ― 2007年03月04日
毎日新聞・ 暮らし ・ 健康 2007/02/24
トランス酸は不飽和脂肪酸の一種。植物油からマーガリンや洋菓子を作る時などに使われるショートニングを製造する際、水素を添加して半固体にするときに生成される。
飽和脂肪酸と同様に取り過ぎると悪玉コレステロールが増え、心筋梗塞など心臓病の死亡率が高くなるとの研究報告があることで、米ニューヨーク市が飲食店を対象に削減を義務づけたトランス型脂肪酸(トランス酸)への関心が高まっているが、日本人の平均的な摂取量は欧米人に比べて少ないとされるが・・・・。各種食品のトランス酸含有量を調べた日本食品油脂検査協会によれば、ドーナツ、クロワッサン、クラッカーなどマーガリンやショートニングを多く使う食品の含有量が高い。
同じドーナツでも油脂の種類によって含有量に約30倍も差があり、外食チェーン店のドーナツでは1個(約50g)で日本人の平均量を上回る約2gという例もあり、ファストフードの揚げ物の取り過ぎは要注意という。
トランス酸は脳や身体の発達・成長に必要なDHA(ドコサヘキサエン酸)やアラキドン酸の生成を減らすとの研究報告もあるので、妊婦は水素添加油脂を多く使った揚げ物やケーキ類の摂取を少なめにした方が良いようだ。
・「生活習慣病から身を守るには」 長寿は努力次第 ― 2007年03月10日
毎日新聞・ 暮らし ・ 健康 2007/02/27
財団法人・三越厚生事業団が主催する20回目の「健康セミナー」が、新宿京王プラザホテルでこの9日に開かれた。心臓病とがんをテーマにした講演で約400人が参加。◇心臓病早期予防が効果的--中村治雄さん(三越厚生事業団常務理事・防衛医大名誉教授)
≪動脈硬化の原因≫◇禁煙・食生活節制を--津金昌一郎さん(国立がんセンター予防研究部長)
遺伝は大きな要因だが、日ごろどんなものをどのように食べているか(食生活)、適度に体を動かしているか(運動)など、生活習慣も原因となる。若い人にはストレスが原因の動脈硬化もある。≪食生活における心臓病の予防法≫
- 食べ方
早食い、過食、夜食は避ける。
食べ過ぎないよう、よくかんでゆっくり食べる。
魚や野菜を中心に30品目以上を取るバランスいい食事を。
- 摂取する成分
糖類や脂肪を減らし穀物で繊維を補給。
心臓病や脳卒中を減らすビタミンB6、B12を摂取する。
常温で固形の脂肪よりも液状の脂肪を取る。→(マーガリンは良くないという意味)
食材の加温は油の性質が変化するので繰り返さない。
- し好品
高血圧、脳卒中、がんの原因となるアルコールはほどほどに。 お酒1合/日が目安。喫煙は絶対に禁物。 運動は、無理をせず適度に。検診でがんは発見できるが、予防はできない。
がんになる確率は40歳までは1%、60歳までが7%だが、85歳になると男性48%、女性26%。
がんは老化現象の一つといえるが、長年の研究で、がんになる確率を下げる方法が分かってきた。喫煙者のがんになる確率は、吸わない人の1.6倍となる。
お酒を日本酒換算で毎日2合以上飲むと、がんになる確率は約1.5倍増す。
野菜・果物不足や高塩分の食品を多くとる人は胃がんに、食物繊維が極端に少ない人は大腸がんになり易い。≪がん予防≫
- たばこは吸わず、他人のたばこの煙も避ける
- 飲酒は適度に
- 塩分は 10g/日 以下
- 野菜・果物不足にならない
- 熱い飲食物は減らし、保存・加工肉の摂取は控える
- 適度な運動を心掛ける
- 成人期の体重を維持し、やせすぎ、太りすぎに注意する
- 肝炎ウイルスに感染していたら治療措置をとること
・白内障:ビタミンCが防止--厚労省研究班 ― 2007年03月10日
毎日新聞・ 暮らし ・ 健康 2007/02/27
厚生労働省研究班(担当研究者=吉田正雄・杏林大医学部助手)らによる、95年~00年まで、岩手、秋田、長野、沖縄の各県に住む男女35,000人規模の調査によれば、日頃の食事でビタミンCを多くとっていると白内障になる率が低くなるという。1日のビタミンC摂取が約210mgの男性のグループは、約50mg前後のグループに比べ、白内障にかかる率が約35%低かった。女性も同様に約41%低かった。
たばこを1本吸うと約25mgのビタミンCが破壊されるため、白内障予防には禁煙が望ましい。
・肝炎にベリーグッド ブルーベリーの葉 宮崎大チーム ― 2007年03月11日
宮崎大の河南洋医学部長ら産官学連携の研究チームが発表したところによれば、ブルーベリーの一種「ラビットアイブルーベリー」の葉に、C型肝炎ウイルスや脂肪肝などに対する抑制効果があることを確認したという。チームには宮崎、鹿児島両大学の医学・農学の研究者や宮崎県の焼酎メーカー雲海酒造などの企業が参加し、04年1月から科学技術振興機構から5年間で約13億円の支援を受けているもので、ブルーベリーの葉の成分の抽出方法や新規用途などについて6件の特許を既に出願しているという。
・妊婦はどれだけ魚介類を摂取すべきか ― 2007年03月24日
Medical OnLine > Hot News 2007/02/27
340g/週 超でも害はなく、低摂取は発達を妨げる胎児の適切な神経発達に必要な栄養素であるDHAやEPA、オメガ-3必須脂肪酸などの主な供給源は魚介類だが、環境汚染による魚介類の摂取により、そこに含まれるメチル水銀などの神経毒に胎児が曝露する危険性もあるため、2004年に米国食品医薬品局(FDA)と米国環境保護局(EPA)が、妊娠中の女性の魚介類摂取量を 340g/週 に制限すべきと勧告していたが、この勧告に従って摂取量を減らすと、出生後の子どもの発達が最適にならない可能性が、Lancet誌2007年2月17日号に報告された。
この報告は、米国立衛生研究所(NIH)のJoseph R Hibbeln氏らが、英国のAvon Longitudinal Study of Parents and Children(ALSPAC)の対象となったコホートを対象に観察研究を行い、妊婦の魚介類摂取量が子供の発達に及ぼす影響を調べたもの。
ALSPACコホートの水銀曝露レベルは、米国のコホートで報告されている値より高かった(体重1kg当たり0.05μg と0.02μg)ことは、魚介類摂取が胎児に与えるリスクは米国より高いと考えられるが、今回は、340g超の摂取でも子供の発達に悪影響は認められず、逆に、摂取が多い方が発達はよいことが明らかになったことより、魚介類摂取が少ないことによる栄養不足は、含有される微量の有害物質が与えるリスクを上回ることを示している。
・歯周病の治療で血管機能が改善 ― 2007年03月25日
米医学誌「New England Journal of Medicine」3月1日号に掲載された、英イーストマン歯科病院(ロンドン)で重症の歯周病をもつ患者120人を対象に実施した研究にれば、歯周病の治療により、血流や動脈の弾力性が改善されるという。歯周病の集中的治療を行った群では、治療直後に炎症の増悪がみられたものの、6カ月後には血管内側を覆う内皮の機能改善が認められた。また血管が拡張して血流が改善したほか、内皮細胞の健康状態を示す分子マーカーでも改善が示された。
例えば、6カ月後の集中治療群の動脈内腔が通常治療群よりも2%拡張しており、改善の程度と歯周病治療との間に相関があるというもの。
・生活習慣病の元、コレステロールを減らす ― 2007年03月26日
毎日新聞・ 暮らし ・ 健康 2007/03/16
◇ご存じ? 植物ステロール
植物ステロールは植物の細胞膜、コレステロールは動物の細胞膜の構成成分で、共に脂質の一種だがコレステロールは小腸から吸収されるが、植物ステロールはほとんど吸収されず、植物ステロールの方は高コレステロール血症の原因となるコレステロールを減らす。◇800mg/日の摂取で効果
菅野道広・九州大学名誉教授らが日本病態栄養学会誌(05年)に発表した臨床試験結果によれば、総コレステロール値が血液1リットル当たり180mg以上(平均235mg)の健康な成人男性61人(25~61歳)を2群に分け、一方に15gあたり800mgの植物ステロールを含んだマヨネーズを、もう一方には植物ステロールを含まないマヨネーズを、毎日、12週間、通常の食生活に加えて摂取させ、定期的に血液中のコレステロール値を測って比較した結果、植物ステロール入りマヨネーズ摂取群では、4、8、12週目で総コレステロール値と悪玉コレステロール(LDL)値の両方が対照群に比べて、有意に低下することが分かったという。
善玉は下げないこれまでの欧米諸国の研究報告では、1000~2000mg/日程度の植物ステロールの摂取を勧めていたが、今回の実験では最低有効量といわれる800mgでの効果が確認された。
日本人の植物ステロールの平均摂取量は 400mg/日 程度なので高脂血症など生活習慣病を防ぐには、日ごろから、植物ステロールの多い食品(大豆油、ナタネ油などに豊富)を取ることが必要だといえる。
植物ステロールがコレステロールを低下させるとはいっても、正常範囲以下に下げ過ぎることはなく、善玉コレステロールを下げることはない。
悪玉低下が重要
悪玉コレステロール値を下げる意味でも植物ステロールの摂取は大切。
高脂血症の患者は、多くの場合、肝臓でのコレステロールの合成を抑えるスタチン系コレステロール低下薬を処方されるが、薬だけでは下がりにくい場合にも、植物ステロールの併用摂取が効果的といわれている。
・メタボ改善に最適なダイエット法は? ― 2007年03月26日
Medical OnLine > Hot News 2007/03/22
炭水化物の摂取を厳しく制限するAtkins法が好成績--米国の研究米国Stanford大学のChristopher D. Gardner氏らは、米国で注目を集めている減量法のうち、炭水化物摂取量が異なる4通りの方法について、体重減少とメタボリックシンドローム危険因子に対する影響を比較した結果を、JAMA誌2007年3月7日号に報告したところによれば、炭水化物の摂取を厳しく制限するAtkins法が最も好ましいという。
▼比較対象とした減量法:
Atkins法が体重減少が最も大きく、メタボリックシンドロームの危険因子に対する影響も、最も良好だった。「これらの利点が低炭水化物に由来するかどうかは分からないが、得られた結果は、低炭水化物食は好ましいダイエット法として推奨できる可能性を示した」と著者らは述べているという。
- Atkins法:炭水化物摂取量を厳しく制限。導入期間は20g/日、それ以降は50g/日以下。
- Zone法:低炭水化物食。炭水化物、たんぱく質、脂肪の摂取比率を 40%、30%、30%にする。
- LEARN法:低脂肪、高炭水化物食。1日の摂取エネルギーの55-60%を炭水化物から取り、飽和脂肪からの摂取は10%未満に。運動量増、行動改善も行う。
- Ornish法:より低脂肪、高炭水化物の食事。脂肪からのエネルギー摂取は10%、炭水化物からの摂取を70%にする。
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